羊の話ー羊は吉祥のシンボル

悠遊字在漢字の由来

羊の話ー羊は吉祥のシンボル

 

【冒頭の詩】

節操で知られる漢の「蘇武(そぶ)」

ひざまずき乳飲み、感謝を表す

カモシカの角は能力の証し

迷える子羊は多いけど

分かれ道ばかり、見つからない

勝手に連れて行けば盗人に

檻(おり)を直し、今度は狼を防ぐ

春が来て、吉祥が訪れる

 

【あらすじ】

「羊」という字を見てみよう。なぜか、「祥」の字にそっくりだ。実は昔、「吉祥」は「吉羊」と書いたのだ。では、なぜ羊がめでたいのだろうか?

 

それはずばり、羊は人類にとても多くの実りをもたらしてくれるから。例えば、栄養豊富なミルクに柔らかく美味しい肉、そして温かくてソフトな毛皮など。だから、古代の人は羊を吉祥のシンボルと見たのだ。

 

漢字に囲まれて暮らす日本人。当たり前すぎてあまり気にかけることもないが、じっくり探求すると実に面白い。その一字一字、一画一画をひも解くと、中華文化の真髄が目の前に現れる。そこには古人の思いや知恵がいっぱいに詰まっているのだ。彼らの豊かな想像力と善良な心は、胸を打つ。

 

【漢字について】

1、甲骨(こうこつ)文字:

四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。

 

2、金文(きんぶん)文字:

甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。

 

3、小篆(しょうてん)文字:

金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。

 

4、楷書(かいしょ):

南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。

 
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