米国株はナスダック上昇、ダウとS&Pは輸入制限措置が重し

[ニューヨーク 12日 ロイター] – 米国株式市場は、ナスダック総合はハイテク株に買いが入り上昇して終了したが、ダウとS&P総合500種はトランプ米大統領による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限発動が重しとなり下落して引けた。

2.9%安の航空機大手ボーイング<BA.N>、2.4%安の重機メーカーであるキャタピラー<CAT.N>といった株式が圧迫された。トランプ大統領の保護主義的なスタンスによりコストが上昇し、海外での販売が打撃を受けるとの見通しが嫌気された。ボーイング、キャタピラーはともにダウ構成銘柄で下落率上位となった。

パー・スターリング・キャピタル・マネジメントのディレクター、ロバート・フィップス氏は「報復措置のターゲットになるとの懸念から、多国籍の大手工業系企業は軒並み打撃を受けている」と述べた。

ロンビア・スレッドニードルのシニアポートフォリオ・マネジャー、アンウィティ・バフグナ氏は先週末に発表された雇用統計で安定して緩やかな賃金の伸びが示されたことに触れ、「株式市場にとって打撃になると考えるべき材料は何もない。成長株は堅調であり、昨年の上昇の勢いが続いている。半面、ダウは成長志向ではなさそうな企業が集まっている」と語った。

この日は下げたものの、S&P総合500種は1月26日に付けた過去最高値を3.1%下回る水準にとどまっている。

ナスダック総合は、ブロードコム<AVGO.O>による米半導体大手クアルコム<QCOM.O>買収提案が当局によって承認されない可能性が一層強まったことにも後押しされた。

シンガポール半導体大手ブロードコムの米国法人化計画で米財務省は、同社が国家安全保障パネルに十分な通知を送らず、同省の命令に違反したとする書簡を11日付で送った。

ブロードコムは3.6%高、クアルコムは横ばい。

半導体大手マイクロン・テクノロジー<MU.O>は8.8%高の59.37ドル。ノムラが目標株価を100ドルに引き上げたことを受けた動き。

光学部品メーカーのオクラロ<OCLR.O>は27.5%高。ルメンタム・ホールディングス<LITE.O>が17億ドルでオクラロを買収すると発表。ルメンタム株は4.4%高。

ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.22対1の比率で上回った。ナスダックでは1.45対1で値上がり銘柄数が多かった。

S&P総合500種構成銘柄をみると、61銘柄が52週高値を更新し、新安値を付けた銘柄はなかった。ナスダック総合構成銘柄では211銘柄が新高値を更新し、24銘柄が新安値を付けた。

米取引所の合算出来高は65億2000万株。直近20営業日の平均は72億株。

 
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