米株は概ね下落、特別検察官がトランプ家企業に書類要求との報道で

[ニューヨーク 15日 ロイター] – 米国株式市場は不安定な取引のなか、ナスダックとS&P総合500種が下落して終了した。朝方発表の新規失業保険申請件数と製造業業況指数は堅調だったものの、午後に入り、ロシアによる2016年の米大統領選への介入疑惑を捜査するモラー連邦特別検察官がトランプ大統領の一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」に文書の提出を求める召喚状を送ったと報じられたことが重しとなった。

S&P総合500種は、この報道を受けてこの日の安値を付けたが、その後下げ幅を縮小し小幅安で終了した。下落は4営業日連続で、昨年12月以来の長さ。

ダウ工業株30種は上げ幅を縮小したものの、4営業日ぶりに反発して引けた。

決算シーズンが終盤に入る中、今週の国務長官更迭など政治要因が米国株式市場の方向性を左右するようになっている。

ジャニー・モンゴメリー・スコットの首席投資ストラテジスト、マーク・ラスチーニ氏は「市場は何かを受け止めて取引レンジを抜けようとしている」と指摘した。

S&Pはこの日発表された新規失業保険申請件数が減少し、労働市場の強さが示されたことを受け、上昇して始まった。製造業業況指数も労働市場のタイト化を示す内容だった。

また、ナバロ米通商製造政策局長が、鉄鋼・アルミニウム関税導入案などを含むトランプ大統領の世界貿易に対する強硬姿勢は必ずしも貿易戦争を引き起こすことはないと言明したことも支援材料になった。

貿易戦争を巡る懸念が後退し、S&P工業株指数<.SPLRCI>は0.3%高と4営業日ぶりに反発した。キャタピラー<CAT.N>は1.3%高。

中国の電子商取引大手、アリババ・グループ・ホールディング<BABA.N>は3.4%上昇。同社が中国株式市場への上場を計画しているとの米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道が材料視された。

ディスカウント小売り大手ダラー・ゼネラル<DG.N>は4.8%高。第4・四半期の既存店売上高が市場予想を上回った。

RF半導体のコルボ<QRVO.O>は3.9%安。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が米アップル<AAPL.O>の次期iPhone(アイフォーン)を巡る競争で、コルボがブロードコム<AVGO.O>にシェアを奪われる可能性があるとの見方を示したことが嫌気された。

ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.71対1の比率で上回った。ナスダックでは1.31対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は66億5000万株。直近20営業日の平均は70億8000万株。

 
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