米大統領「大きな代償払うべき」、シリア化学兵器攻撃の報道受け

[ベイルート/ワシントン 9日 ロイター] – トランプ米大統領は8日、シリアの反体制派拠点で毒ガス攻撃によって何十人もの死亡者が出たと医療支援団体が伝えたことについて、アサド大統領とアサド政権を支援するロシア、イランを強く非難した。

トランプ氏はツイッターに「化学兵器を使った攻撃で女性や子供を含む多くの人が死亡した。ロシアのプーチン大統領とイランには『動物』のアサド(大統領)を支援している責任がある。大きな代償を支払わなければならない」と投稿。プーチン氏を名指しで直接批判する異例の姿勢を示した。

攻撃があったのは反体制派が拠点を置くシリアの東グータ地区にある都市ドゥーマ。医療支援団体「シリア系米国人医療協会(SAMS)」と民間防衛団体は共同声明で、49人が死亡したと発表した。

ただシリア政府は化学兵器の使用を否定。プーチン氏は報道は偽物だと主張している。

トランプ氏は何らかの対応を示唆しているが、具体的な考えは明らかにしていない。昨年はシリア政府が反体制派に神経ガスのサリンを使用した疑いが浮上した数日後、トランプ氏はシリアの空軍基地へのミサイル攻撃を承認した。

トム・ボサート国土安全保障担当補佐官は、ホワイトハウスがさらなるミサイル攻撃を排除しないとABCテレビで発言。一方、2人の米政府高官は、トランプ氏はシリアが化学兵器を使ったとより高い確信を持てる情報が入手できるまで、動かない公算が大きいとの見方を示した。

この関係者の1人によると、いくつかのシリアの軍事基地にロシア軍が駐屯していることで、攻撃の標的選びが難しくなっている。トランプ政権内の一部にはロシアがアサド政権を支持している以上、攻撃に際してロシア軍に影響が及ばないような配慮をすべきではないとの意見があるものの、実際にロシア軍側に何らかの被害が発生した場合には、プーチン氏が別の手段で報復する公算が大きいとみなされている。

折しも9日にはトランプ氏が新たに起用したボルトン国家安全保障担当大統領補佐官が執務を開始する。複数のホワイトハウス高官は、ボルトン氏がシリア問題でトランプ氏にどういった助言をするかは不透明だと話しているという。

 
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