南北閣僚級会談中止の北朝鮮 専門家「中国政府が糸引き」

北朝鮮が16日、同日の南北閣僚級会談を中止すると発表し、6月開催予定の米朝首脳会談にも難色をちらつかせるなど、一転強気に変わっている。専門家の間では、水面下で中国政府の支持を取り付けた可能性が高いこと、非核化協議でアメリカから有利な条件を引き出す「常套手段」だという見方が多い。

閣僚級会談中止は、米韓両軍による共同訓練「マックス・サンダー」の実施を理由にしている。米ロングアイランド大学の朝鮮問題専門家の夏亜峰氏は米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、「米国を揺さぶる交渉術」としたうえ、米韓を相手に中国と北朝鮮が水面下で連携プレーを取っていると裏読みした。

同氏は、このままでは北朝鮮の非核化が難しくなると述べた。

今年3月、トランプ米大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を受け入れてからまもなく、ここ数年冷え込んでいた中朝関係が急速に回復した。トップ就任後一度も中国訪問が実現しなかった金正恩氏は1カ月あまりの間に2度も訪中し、中国からは習近平国家主席の特使や指導部高官もあいつぎ訪朝した。

なぜ、このような流れに変わったのか。中朝の政治事情に詳しい、米メリーランド情報・戦略研究所の専門家は米大紀元時報の取材で詳しく分析した。

「国連制裁により窮地に追い込まれた金正恩氏は今年に入ってから、平昌オリンピック参加、南北首脳会談のほか、米朝首脳会談を取り付けるなど、米韓側に大幅に歩み寄っていた。

しかし、このシナリオのままでは蚊帳の外に置かれてしまう中国政府が先手を打った。金正恩氏を招いて、最高指導部メンバーが接見するなど盛大に招待し、疎遠になった仲の修復に躍起になっている。

金正恩氏の態度急変の裏には、中国政府が、米韓との交渉が破たんしても味方になって支援すると安心させた可能性が高い。

実質的成果が得られなかった6カ国協議のときのように、中国は再び北朝鮮を外交カードに使おうとしている。国際社会に対する影響力アピール、米中貿易交渉でアメリカに譲歩させるのが狙いだ」

17日、トランプ米大統領は「先に核廃棄-後で補償」という「リビアモデル」を北朝鮮に適用しないと、金正恩氏を慰める発言をしたが、この先、次々と難癖をつけてくるはずの北朝鮮を相手に、非核化を約束させることができるか、懸念する声が急速に高まっている。

 
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