【動画ニュース】中国製スパイチップで業界が騒然 レノボ・グループの株価一時急落

中国で製造されたスーパーマイクロ社のコンピューター・サーバーに、スパイチップが埋め込まれていたとのブルームバーグ・ビジネスウィークの報道を受け、10月4日、スーパーマイクロ社の株価が41%下落しました。翌日には中国のパソコン大手、レノボ(聯想)グループや中国大手通信機器のZTE(中興通訊)の株価も軒並み下落しました。今回のことを受け、業界に激震が走っています。

ブルームバーグ・ビジネスウィークは4日に公開した記事の中で、アップルやアマゾンなどを含むアメリカの企業約30社向けに製造されたマザーボードに、中国当局によって悪意のあるチップが埋め込められていたと伝えました。ブルームバーグ・ビジネスウィークは1年以上の時間をかけて追跡調査を行い、100回以上にわたり関係者を取材したとして、報道や情報源について確信を持っていると述べています。

ブルームバーグ記者  ヨルダン・ロバートソン氏

「中国人民解放軍はコンピューター・サーバーにスパイチップを埋め込み、米国に売り込もうとした。この種のサーバーは大手のアップルやアマゾンなど 多くの会社で使われている。この種のチップはソフトウエアではなく、ハードウェアに埋め込まれているため発見するのは難しい」

今回の報道に対し、アップルやアマゾンだけでなく、アメリカの国土安全保障省(DHS、Department of Homeland Security)までもが報道を否定する声明を出しました。一方、中国当局による長期にわたる企業機密窃取に対する怒りも浮き彫りになりました。

台湾淡江大学統合戦略及び科学センター長  蘇紫雲氏

「これはハイテク戦争の一端だ。ハイテクは未来経済に影響する。次世代モバイル通信技術5Gが一つの指標だ。中国製のこれらの通信機器には安全保障上のリスクがある。いったん中国標準規格が世界標準に採用されると、西側民主国家はいよいよ危なくなる」

ブルームバーグの報道を受け、翌日、中国のハイテク株は軒並み下落しました。レノボ・グループは一時23%と、10年来最大の下げ幅、ZTE(中興通訊)は10.4%、AACテクノロジーズ瑞声科技控股)5.5%下落しました。

IT製品情報専門サイト、テックリパブリック(TechRepublic)は、今回の報道によるハイテク産業への三大影響を指摘しました。まずは、貿易摩擦がヒートアップするにつれ、アメリカが中国製マザーボードの使用禁止に踏み切る可能性。次は、中国製チップがブラックリストに載せられることによって、製品価格が高騰する。このほか、外国メーカーのハードウェアの需要が上昇すると予想しています。

台湾経済研究院の副研究員 劉佩真氏

「米国が一部の関連製品について、中国への輸出または中国からの輸入を禁止すると、米中貿易摩擦は引き続きヒートアップするだろう。つまり今後、関税以外の分野で制裁合戦が起こりうる」

専門家は、今回のことによって、世界の半導体サプライチェーンが影響を受けるのは必至であると見ています。一方、中国以外のメーカーにとっては、市場でのシェアを拡大する新たなチャンスとなるかもしれません。

 
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