【動画ニュース】2019年パクリ大賞「プラギアリアス賞」を中国企業が続々受賞

中国で製造された模倣製品が世界中に広まる中、ドイツで2019年「プラギアリアス賞」が発表されました。この賞は数々のノミネート製品の中から最も恥ずべき模倣品に対し贈られるもので、賞自体に法的な強制力はありませんが、中国企業による知的財産権の侵害を世界に広める絶好の機会となりました。

この賞が始まったのは1977年で、ドイツのアクション・プラギアリアス協会は毎年、エントリーされた模倣製品から10点を選出し、その製造元に「プラギアリアス賞」を授与しています。トロフィーは金色の鼻をした小人をかたどったもので、模倣によって不当な利益を得ていることが表現されています。「プラギアリアス」とはラテン語で「模倣品」を意味しています。

本年度の賞を獲得した製品のうち中国企業がトップ10を独占していたため、中国はパクリ業界最大の勝者とたたえられました。

今年発表された、おもちゃ、鋳物の鍋、シャワーヘッド、センサーなどの模倣製品は見た目には本物と区別がつきません。3位に選ばれた鋳物の鍋は浙江省の海塩凱蘭電器公司が製造したもので、この鍋は欧州に旅行する中国人が必ず購入する人気商品です。同社はオリジナル製品を細部まで模倣し、高品質の鋳鉄を使用する代わりに低コストのアルミを使って本物の1/10のコストで製品化していました。

中国の政治経済評論家、王思想氏

「長年にわたる中国の経済発展において行われてきたことの一つが知的財産権の盗用だ。これは中国経済を発展させるための伝家の宝刀の一つだが、他にもいくつかある。環境破壊、資源の安売り、労働者の抑圧などだ」

中国の政治経済評論家、王思想氏は、中国政府は知的財産権の盗用を国策として行ってきたと指摘します。

中国の政治経済評論家、王思想氏

「政府は中国人が模倣品を製造するのを奨励している。だから中国企業が多くの外国の同業他社を追い越したかのように見える。これが大きな理由の一つだ。つまり模倣品を使って、多くの大企業との競争に打ち勝った。個人的には、これまで中国の態度を大目に見てきた西側諸国が、ついに辛酸をなめさせられたのだと理解している」

審査員の統計によると、モーションセンサー「IS 1」を模倣した中国企業は19社に上り、これらの企業は製造した模造品を欧州市場で販売していました。

台湾中国投資被害者協会の高為邦理事長

「安いからとうっかり買ってしまったが、使ってみたら全然よくなかった。そうすると当然、正規品のメーカーの信用が落ちることになる。正規品メーカーの利益が損なわれ、信頼に傷がつく。これは深刻な問題だ」

ドイツ経済研究所は「eコマースプラットフォームがここ数年で急速に広まったことで、模造品の販売が前よりやりやすくなった。その結果、真似された正規品メーカーの売り上げが減少したと思われる。悪貨が良貨を駆逐する環境では、正規品メーカーがリストラを行わざるを得なくなる。模倣品によって過去5年間で、50万人が仕事を失った」と指摘しています。

台湾中国投資被害者協会の高為邦(こう・いほう)理事長は「台湾企業も過去に中国で模倣被害に遭ったが、打つ手がなく、ぐっとこらえるしかなかった。今、中国当局は米国に対し同じやり方を行っているが、米国から反撃をくらった」と述べています。

台湾中国投資被害者協会の高為邦理事長

「中国は対策を講じる気がない。この国が利益を得るためなら知的財産権をも侵害するのは、中国当局がこれを黙認しているからだと私は考えている。そうでなければここまでひどいことはできないはずだ。要するに誰かが中国共産党政権をやっつけるだろう。今、トランプ大統領以外にも、世界中が中国共産党に立ち向かい始めたのではないか」

米国商工会議所グローバルイノベーション政策センター(GIPC)は最新レポートを発表し、知的財産保護分野における中国のランキングが下がったことを挙げ、各国の企業は中国企業による商業機密の盗用について深く憂慮していると指摘しています。中国では技術移転や市場参入などの分野においていまだ大きな障壁が存在し、外国企業に対する強制的な業務提携や、技術・知的財産の共有の強要は、国際社会における自由貿易の原則に背くものだとして、これらが米中貿易戦争の主な原因だと述べています。

 

 
関連記事