マレーシア首相 危険な中国マネーをフィリピンに警告【チャイナ・アンセンサード】

南シナ海に新時代の幕開けとなるか?

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フィリピンは、私のお気に入りの東南アジアの国です。食べ物が美味しいから。

マレーシア首相のマハティール・モハマドは、3月始めに フィリピンを国賓訪問。

「経済問題についても話し合い、二国間の貿易は増加しています。しかし主にマレーシアにメリットがあり、まだ改善の余地があります。大統領との会談の結果、我々はこれから 推し進めようとします。両国の民間セクターにおける、協同機会の模索及び 新たな協力と投資への取り込み」

マレーシアとフィリピンの関係強化を図る一方で、マハティールはある国について警告を発しました。

それは、中国。

フィリピンのニュースネットワークにマハティールは次のように語りました。「中国から借りた多額な借金を返せなくなる場合、借りた方は中国の言う通りになってしまうから、細心な注意を払うべき」

借りているのがどの国なのか特に明言はしなかったけど、ただ「フィリピンと同じような状況の国々は、中国の影響を規制又は制限すべき」と念を押して、借りている国がスリランカの二の舞にならないためね。

2008年、スリランカは深水コンテナ港建設に着手。中国から資金を融資して。

10年後、スリランカが返済出来なくなると、中国はその港を99年借用契約の形でスリランカに譲渡させたのです。

この港は、いずれ理想的な海軍基地となり、どこかの敵国をやっつけるためね。

マレーシア首相マハティールは、中国政権の債務を利用して他国を不利な取引に誘い込む所謂「借金漬け外交」の手口を熟知しています。なぜかと言うと、マレーシア自体がその犠牲になりかけていたからのです。

大規模な汚職行為を行っていたマレーシアの前首相は、340億ドル相当の中国資金によるインフラプロジェクトを推進しました。これには中国の国営企業がクアンタン近くの深水港湾の利権の4割を購入する取り決めが含まれていました。

中国共産党は港が大好きです。中国共産党の「一帯一路」構想の重要拠点となるからです。

「一帯一路」は 中国が構築している貿易ルートとインフラプロジェクトの世界的ネットワークであり、「借金漬け外交」の基本的な原動力となるのです。

中国国営メディアのお好みの言い方だと、「ウインウインとなる協力関係」 。だってさ、 何があっても中国が勝つからね!

マハティールが2018年の選挙で、予想外の勝利を収めました。前首相の大規模な汚職が明らかにされたのも一因です。

中国政権が、前首相の汚職を隠蔽工作する代わりに「一帯一路」構想への協力を承諾してもらったのです。

友達同士の間で、たった数十億ドルのことじゃない?

そうですね。 数十億ドルにプラスジャーナリストを違法に見張ることもね。

当然ながら、マハティールは中国資金のインフラ整備と中国の影響力を中心に、選挙運動を展開したのです。

「我が国の国民が雇われず、我が国の企業が 設計計画や管理監督にも加わらず、我が国には 何のメリットもない!」

マハティールが就任後、中国との不公平なインフラ取引についての再交渉や撤回に取りかかりました。

例えば、総工費200億ドルの鉄道計画の再交渉、中国資本による石油&天然ガスパイプラインの完全破棄。

これは中国政権の東南アジア支配計画の実現に大きな打撃となりました。

そして今、マハティールはフィリピンの大統領、同じ道を歩むよう勧めています。

クレイジーな元カノとデートしようとする友達忠告しているようですね。

でも、そういう忠告を聞き入れる人は、どの位いるでしょうか?

2016年にドティルテが選出される前は中国とフィリピンは、南シナ海の領有をめぐって対立していました。しかしドゥテルテは、領有紛争を脇に置くことに決め、野心的な1800億ドル規模のプロジェクトに専念。

彼曰く「建設 建設 建てまくれ」プロジェクト。しかし問題は「金 金 金」だった!その隙に、中国マネーがなだれ込んだのです。

「2016年に ドゥテルテはフィリピンのインフラを整備するために、中国から240億ドルの融投資援助について、習近平国家主席と約束を交わしました」

ロンドンのシンクタンク「Capital Economics」によると、汚職問題は中国投資の一部であり、フィリピンは既に持続に不可能な水準に近づく貿易不均衡を抱えています。つまり、輸出よりも輸入がずっと多いのです。

だから、マハティールがドゥテルテに言ったのです。中国から大金を借りる国…名前は言わないけど、それらの国は 警戒した方が良いと思うよ。

フィリピンにとって幸いなことは、約束された240億ドルのインフラ整備について、中国からの融資手続きは 少し時間がかかること。

フィリピン財務大臣の言葉によると、フィリピンは「絶対に」中国の罠にはハマらない。

なるほど!被害を被ったスリランカ、パキスタン、モンテネグロ、モルディブ ジブチ、そして他の多くの国々とは違い、フィリピンは「絶対」大丈夫でしょうよ!

確かにその通り。前提は 中国マネーを使い過ぎない限りはね。

中国政権の借金漬け外交には 別の問題もあり、マハティールからの警告は大量の中国人労働者が押し寄せるぞ。

「外国からの直接投資は、大量の外国人の国内移住を伴うべきでない。なぜなら、国政の均衡を乱す可能性があるから」

言い換えれば、これらの外国人は 国民の仕事を奪っている!

こんな言葉が 93才の医者の口から出ると、妙に説得力があるように聞こえますね。

ドゥテルテが2016年に就任して以来、20~30万人の中国人労働者がフィリピンに流入。人口は3倍に膨れ上がりました。

中国人はフィリピン政府が承認した就労ピザの半数以上を占めて、その多くが特別就労許可です。そして多くの中国人が、オンラインのカジノで働いています。

面白いキャリア選択ですね。おまけに、多くの中国人労働者が不法滞在中。最近、フィリピン政府は大規模な取り締まりを行っています。

マハティールが言うには、「大量の外国人が国内に滞在し、経済にも影響を与えるようになると、それについて良いことなのか悪いことなのか、または制限すべきなのか、再考する必要がある」

当然、外国人全体についてであり、別にどこの国とは言ってませんからね。

しかし中国にとって マハティールの発言は共産政権が計画した マレーシアでの借金漬け外交を台無しにしているのです。

東南アジアの国々が マハティールの元に集結し、中国との「ウィンウィン協力」を放棄したら、中国共産党にとって「ウェ~ンウェ~ン負け」という結果になるかも。

ちょっと悩む表現ですね。何の得にもならないシナリオを信じていないから。

マハティールの取り組みは 経済だけに留まらず、南シナ海領有権への中国主張にも挑みました。

何兆億ドルもの積み荷が行き交い、未開発の石油や天然ガスも 埋蔵されている南シナ海。中国の主張は基本的に全部オレのものだ。当然それはフィリピンとマレーシアの主張と張り合っています。

先程言ったように、ドゥテルテは 領有紛争からほぼ身を引き、それも国際司法裁判所は中国の主張を否定した後、フィリピンは 最も強い立場にあるにもかかわらず。

マハティールはフィリピン訪問中、中国が南シナ海の「所有権」を定義すべきだ と主張。

さらに、中国が何を主張しようと問題はないが、基本的に行動を伴わないという前提であれば、と明言

しかし、中国共産党が 支配せずに何かを所有することに、素直に承知するとは どうしても思えないのですね。

掴んだものを手放すのは、党の性に合わないの。香港に聞けば、分かるよ。

マハティールのフィリピンへのメッセージについて、どう思いますか?”

コメントをお寄せください。

最後に、チャイナアンセンサードの50セント軍団のメンバーからの質問に答えるコーナーです。50セント軍団とは Patreonを通じて番組をサポートしてくれる大事なファンの方々だよ。

サー・ウィルフレッド・オブ・アイヴァンホーさんからの質問です。

「中国の労働人口は既にピークに達し、2050年までに23%減少すると予測されています。なぜ中国共産党が 今になってやっと一人っ子政策を取りやめるのですか?この政策が 中国の経済と覇権への野望に長期的かつ破壊的な影響を与えることはずっと前から分かっていたのに」

とても良い質問です。ウィルフレッド…あの名門一族ですか?

表面的には「一人っ子政策」は中国の人口急増を抑えるものでした。しかし、出生率はこの政策が施行される前から下がっていたのです。

ではなぜ「一人っ子政策」を実施したのでしょう?

実は、大規模なトップダウン管理の実行にとって、多くの利点があるからです。

一人っ子政策を盾に、党はこれまでにない厳しい監視システムの導入ができて、雇用主は文字通り、女性の月経サイクルを監視するように要求されるのです。この党の官僚政策により、多くの仕事が生み出されることが 想像できるよね!

それに加えて 地方当局も大きな財源を得られ、つまり 政策に違反した人々に重い罰金を課すこと。

例えば 妊娠前に当局に登録していなかったら、たとえそれが1人目であっても罰金を払うか、移動中絶手術車に引きずり込まれるか。

もう一つの好都合は、互いを監視させることにより民衆を効率よく管理すること。例えば、ある女性が政策違反すると、所属している工場かそのグループ全員が 罰せられる。

すると人々は、互いに監視して報告するというわけ。そして管轄地域の人口指標が高くなると、地方当局者も罰せられます。従って、移動中絶手術車が必要なの。今挙げた例はどこでもあった訳ではありません。党の多くのトップダウン管理と同様、まだらに施行されたのです。

でも要点を理解したでしょう。

一人っ子政策は 国家による深刻な侵害行為です。その対象は 社会を構成する最も基本的な単位「家族」。この政策は 人口増加の抑制には 必須ではありません。大衆管理においては 素晴らしいものだと言えます。

一人っ子政策は、邪悪な独裁主義な体制にとって好都合なもの。だから「一人っ子政策」が 2015年に中止したと同時に政権は、性質そっくりの「二人っ子政策」を推し出したのです。

結局 悲惨な「一人っ子政策」の結果は、今や国全体を脅かすこととなっています。でも、新たに「進化」した国家の大衆管理策が、解決できない問題なんてきっとないと思いますよ。

ご質問を寄せていただき、ありがとうございます。

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