正義のために–江沢民提訴第一人者の勇気

段巍さんは医学者の家系に生まれ 、中南海からも一目置かれる北京の名医でした。

中国軍の将軍から信頼されただけでなく、東南アジア各国の多くの将軍も彼女の患者でした。段さんは普通の女性とは違い、豪快でさっぱりした性格の持ち主でした。

段巍医師

「男ぽい性格だったから、普通の男性は私に近寄ることもできなかったです。しかし彼だけは 『僕はちがう』と言って、追いかけてきました」

彼は北京の中央美術大学を卒業後、ビジネスに転向し、建築デザイン会社を立ち上げました。

二人が最初に出会ったのは1997年の冬でした。段さんは当時、海外から輸入した家具を修理できる店を探していました。

段巍医師の夫 朱柯明さん

「最初に会った時から、お互い相手が好きになり、意気投合しました」

趣味から料理の味に至るまで、二人は多くの共通点を持っていたのです。当時の朱柯明さんは大酒飲みでした。仕事のストレスから不眠症になり、毎晩大量のお酒を飲んでいました。

ある日、段さんは甥の王傑さんを紹介しました。当時、段さんも王傑さんも法輪功を修煉しており、二人とも心身の恩恵を受けていたので、不眠症に悩む朱さんにも、法輪功を薦めました。

企業家 朱柯明さん

「最初に本を読んだ時、この本は人に良い人になるように教えていると感じました。そして、宇宙に理に関して説いていて、私が模索していたものと一致し、私の人生に必要な本だと思いました。それから酒も飲まなくなり、会社の従業員たちも驚いていました。大酒飲みが酒をやめるなんて、あり得ないと」

十数年間悩まされてきた不眠症が、段さんとの出会いで短期間で治るとは思ってもみませんでした。

しかし、幸せな日々は長くは続きませんでした。

1999年7月22日、中国公安部が法輪功を取り締まる通告を出し、全国のメディアが一斉に法輪功を批判しはじめました。

企業家 朱柯明さん

「中央テレビが法輪功を誹謗中傷し、とても受け入れられない内容だったので、思わず涙がこぼれました」

朱さんと段さん、そして甥の王傑さんは 、当局が法輪功を誤解しているから、誤って法輪功を禁止したと考えました。そして、当時の共産党トップ江沢民に手紙を出すことにしました。各レベルの政府部門に対して陳情を行い、迫害をやめてほしいと訴えました。

彼らは数千通もの手紙を出しましたが、弾圧は深刻化の一途をたどり、迫害による死亡者数は日に日に増えていきました。

3人はある決心をしました。実名で、当時のトップ江沢民、羅幹、曾慶紅を憲法違反および人権侵害の罪で提訴することにしたのです。共産党のトップを訴えることは、共産党一党独裁の中国では前代未聞のことでした。

2000年8月25、朱柯明さんと王傑さんは、中国人民最高検察院に対して4万字に上る訴状を提出しました。郵送する前に、二人は段さんのサインを外しました。

朱柯明さん

「中国共産党ならどんなこともやりかねないのです。仮に逮捕されたとしても、 男二人は刑務所で苦を舐めても耐えられるが、段巍は女性なので、耐えられないかもしれないと考えたのです。それで、彼女の名前を削除し、訴状をプリントし直しました」

10日後、朱柯明さんと王傑さんは警察に連行されました。

2か月過ぎた頃、王傑さんの家族に「迎えに来るように」と警察から連絡が来ました。家族が目にしたのは変わり果てた王傑さんの姿でした。意識が朦朧としていて、大小便失禁、さらには2日に1回透析を行わないといけない状態になっていたのです。

王傑さんは当初、拘置所で受けた虐待について家族には話しませんでした。ある日、爪に爪楊枝を刺すなど、法輪功学習者が受けた拷問を再現した絵画を目にした時、王傑さんは涙を流しました。

段巍医師

「『叔母さん、これらの拷問、僕全て受けたよと』と、王傑はようやく自分が受けた拷問について話し始めました。男数人が彼の肩を傷めつけ、それから腎臓の部位を膝で蹴り続けました。今度は生殖器を膝蹴りしはじめました。引き続き、誰かが手刀で首を打ち、王傑は気絶しました。目が覚めた時には、すでに1か月が過ぎていました。ずっと昏睡状態に陥っていたのです」

2001年6月18日夜、王傑さんはこの世を去りました。まだ38歳でした。

十数年が経った今でも、段さんと朱さんは身内を失った悲しみを忘れることはできません

朱柯明さん

「王傑が生きていれば、3人が一緒にいると、本当に楽しいのに…ぽっちゃりした子で、 積極的でとても勤勉で忍耐強い人でした」

当時 朱さんは5年の不当な判決を受け、刑務所で服役中でした。王傑の最期を看取ることはできなかったのです。

「よく頑張った!」「これは叔母の代わりだよ!」

朱柯明さんは釈放後、香港に渡り、香港市民として再び江沢民を提訴しました。

朱柯明さん

「江沢民は国家主席 軍委員会主席の権力を利用して、1999年に法輪功修煉者への迫害はを発動しました」

段巍さん、朱柯明さん及び王傑さんは、江沢民を提訴した第一人者です。人類史上最大の人権侵害およびジェノサイドに対して、3人は 勇敢に立ち上がったのです。

このことは中国で人類史上最大規模の人権訴訟の波を引き起こしました。2015年12月まで、20万人以上の中国人が最高人民検察院と最高人民裁判所に対して、法輪功迫害の罪で江沢民を提訴しました。

時には不公平な扱いを受けても抵抗する力がないかもしれません。しかし、疲れ果てて力が尽きて絶望した時こそ、大切なのは信念を堅持し、前進する勇気を失わないことです。

「どこにおける不正であっても、あらゆるところの公正への脅威となる」

ーマーティン・ルーサー・キングー

 
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