【動画ニュース】米シンクタンクが一帯一路の7つのリスクを指摘

北京では4月25日から三日間にわたり、「一帯一路」サミットが開催されました。一方、米国のシンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」は報告書を発表し、「一帯一路」は中国共産党が地政学的野心を実現するための核心手段だと指摘し、中国からの投資を受ける参加国に生じる可能性のある7つのリスクを挙げて警告を発しました。

ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターは4月8日、報告書『中国「一帯一路」評価(Grading China’s Belt and Road)』の中で、中国共産党が2013年に打ち出した「一帯一路」構想は、経済措置であるだけでなく、中国政府の地政学的野心を実現するための核心手段として推進されており、参加国に7つのリスクをもたらす可能性があると指摘しました。これには、国の主権が侵害される、透明度が失われる、債務負担を継続できない、その国の経済ニーズからかけ離れる、地政学的リスク、環境へのマイナスの影響、そして汚職が挙げられています。

海外在住の中国人経済学研究者、李松筠(り・しょういん)博士はこの報告書で指摘された7つのリスクは実際に存在すると語っています。中国当局が一帯一路を推進する真の目的は、中国の世界覇権を実現することだからです。

海外在住の中国人経済学研究者 李松筠博士

「中国当局の真の目的は、中国の政治的野心、つまり世界覇権を実現するという野心を実現することだ。よって現地で多くの問題を引き起こしている。参加国の経済発展にプラスになっていないばかりか、これらの国に重い債務を負わせている。これらの国が債務を負担しきれなくなると、スリランカの港を回収したように、中国の主権を表明する」

カザフスタンの研究者は一帯一路プロジェクトについて、道路整備や橋梁建設を例に挙げて説明しています。これらの事業は現地の人々に雇用の機会を与えてはいるが、中国企業は現地作業員に対し公平な待遇は行わないため、これまでにも激しい反発を招いており、特に東カザフスタン州では、中国の石油会社とコンクリート会社が現地の土壌と空気を汚染したため、農民から抗議の声が上がっています。

海外在住の中国人経済学研究者 李松筠博士

「多くのプロジェクトは現地の環境アセスメントを行っていないうえ、さらに一帯一路プロジェクトについて協議する際、彼ら(中国政府)は汚職という手段を使う。だから汚職という習慣がそれらの国に根付く。マレーシアのナジブ前首相が政権を離れた後、現在のマハティール首相はナジブ前首相の汚職がいずれも一帯一路プロジェクトに関連していたことを突き止めた」

ラジオ・フリー・アジアによると、米国務省の要員が4月23日に、国務省が新アメリカ安全保障センターの「一帯一路」プロジェクト関連報告に出資してこれをサポートしていることを明かしました。この要員は、報告が具体的な一帯一路インフラプロジェクトに有益性があるかどうかを各国政府が判断するための助けとなり、一帯一路への参加を考慮している国に対し、指導的役割を果たすこともできると述べています。

在米時事評論家 鄭浩昌氏

「一帯一路は本質的に、中共の統治方式を海外に拡大したものだ。政治的に言うと、独裁政権が海外に覇権を伸ばそうとする場合、独裁体制を輸出するしかない。経済面から言うと、公権力が深く進出した偽の市場経済は、海外に出ても真の市場経済に姿を変えることはできない。一帯一路が海外に進出したら、どんなに体裁を整えたとしてもその根底にある「赤い本質」を覆い隠すことはできない」

李松筠博士は、中国政府が2018年にさらにデジタル・シルクロード構想を提起した目的は、グローバルインターネットの将来の発展を再構築し、さまざまな方式で各国と合従連衡(がっしょうれんこう)してその影響力を拡大し続けることだと分析します。

海外在住の中国人経済学研究者 李松筠博士

「事実、インフラ建設による一帯一路デジタル・シルクロードだけでなく、多くの多国間協力機構を含む他の組織もある。例えば、中東欧国家との16+1の協力体制を敷く上海協力機構やアジアインフラ投資銀行があるが、いずれも国際的な影響力を高め、発言力を勝ち取ろうとしている」

李松筠博士は、中国政府が現在打ち出しているいわゆる中国モデルや中国プランなどの背後にある真の意図は、中国の独裁政権を軸心とする世界新秩序を構築することだと指摘します。

また、一帯一路は中国共産党にしかうまみがなく、中国の一般庶民には何の利益ももたらさないと語っています。一帯一路に投入される資金は、実際には国民から搾り取ったものであり、一帯一路に参加する企業は、基本的には効率が低く汚職にまみれた国有企業だからです。

海外在住の中国人経済学研究者 李松筠博士

「国有企業の効率はどれも非常に低い。国内で汚職に走る彼らは、そうしたやり方を海外にも輸出し、その過程で大金が貧困国の高級官僚の懐に入る。中国の国民が生み出した富が、これらの国の腐敗官僚に着服されている」

李松筠博士は、中国共産党が国外で莫大な資金をばらまけるのは、巨額の外貨準備高があるからだが、どれだけの外貨を準備してもそれと同額の人民元が印刷されるため、財政インフレが中国の庶民をより貧しくしていると指摘しています

 

 
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