米中は貿易戦争の真っ最中で、戦争には武器が不可欠です。アメリカ帝国主義を叩きのめすのに自国の通貨より効果的な武器があるだろうか!間違いなくうまく行くでしょう!
チャイナ・アンセンサードへようこそ。キャスターのクリス・チャペルです。
米中貿易戦争が応酬を繰り広げている中、トランプ大統領は要求を厳しくするように決意しました。
トランプ政権は 約3000億ドル相当の中国からの輸入品に関税を課すことを発表。これまで関税対象外のほぼ全てのものが対象と発表されたように、一部の関税は9月1日から、残りは12月15日から実施されます。
この超大国アメリカにプレッシャーをかけられ、可哀そうな中国指導部は一体何ができるでしょうか?
考えうる一つの策は…自国通貨を武器にすること!
都合よく中国共産党は政府や銀行、国営産業に対して絶大な影響力を持っていて、通貨と物価をたやすく操作することができます。中国中央銀行は最近、自国通貨の人民元が米ドルに対して安くなることを容認しています。
つまり米国への中国の輸出が安くなり、これでトランプ氏のかけた関税による輸出の価格上昇を抑える算段。帳尻が合うというわけ。ある意味、防衛するための武器として自国通貨を用いているのです。
人民元安は 中国国内でビジネスをするアメリカ企業にも打撃を与えるのです。
上海で販売されるシボレー車は更に高額になってしまい、代わりに中国の車を購入してはいかが?
こうして中国は通貨を攻撃の武器としてアメリカの企業を痛めつけるのです。
武器となるのは通貨だけではありません。最近の関税への報復として、中国政権はすでに国営企業にアメリカ農産物の購入を禁止。例えば大豆。これは大豆を武器として アメリカの農民、つまりトランプ大統領の支持層に打撃を与えるのです。
アメリカの農民を追い詰めるだけではまだ不十分なら、中国のレアアース生産者によると、供給制限を武器にする準備ができていると。
世界のレアアースの約8割を掌握している中国だからこその切り札です。
イットリウムやネオジムなどのレアアースはiPhoneやその他の電子製品に不可欠なものだから。
当然 iPhoneが高すぎになったら代替品を買うしかないよね。Huawei P20Pro みたいな。
iPhoneもどきに必要な機能は全部揃っています。セキュリティ保護は全くないけど!
無論自国通貨や経済の一部を武器化することは中国共産党にとっても潜在的な問題があります。大砲が大きいほど、撃った後の反動も大きいから。
もし共産党がレアアースのアメリカ輸出を制限したら、アメリカ企業は単純に自国の生産量を増やすでしょう。なぜなら 輸入価格が上がると、地元採掘の収益性が高まるから。
実際、日本では似たようなことが起こったのです。
「2010年の領土紛争後、中国は日本へのレアアース輸出を禁止。それにより、日本産業界の代替品開発が促進され、最終的に中国の生産工場に打撃を与える結果に」
おまけに日本は昨年 巨大な棚ぼたを拾い、埋蔵量が780年分もあるレアアースを発見。
これだけあれば、私のネタ書き「イヤミロボ3000」が元気に働き、プレジテーター習近平のジョークを何世紀も書き続けますね。
「プーさんはもっと甘い甘い蜂蜜が欲しいんだって。ハッハッハー」
ともかく多くの場合、中国の経済武器は裏目に出るでしょう。
例えば、トランプ大統領に痛手を負わせるべく、アメリカの農民を狙った共産党の戦術はそれほど上手く行っていません。
中国が農産物の購入を止めたので、多くのアメリカの農民が打撃を受けたのは事実です。
共産党のロジックでは、暴君に対し農民が立ち上がるものと考えるでしょう。
ここで問題なのは、多くの農民はトランプ氏を暴君とはみなしていないこと。彼を支持しているんです。
彼らの多くは トランプ氏が本物の暴君に立ち向かい農民を守っていると考え、中国共産党こそ 本当にアメリカの農民を痛めつけようとする暴君だと見ているのです。
CNBCの記事はイリノイ州の農民の言葉を引用しています。
「農民の多くは誰かを非難するより、現状を解決させることに関心を持っています。もし非難するなら、先ずは中国 そして以前の大統領たちでしょう。15年か20年前には 貿易不均衡の問題を容易に解決できたはずだから」
トランプ支持の理由に、中国から徴収した関税の一部を米国農家への補助金として使うこともあります。
一方、中国中央銀行がドルに対する人民元安を容認することについては、中国の輸出を助けますが、同時に アメリカから資金を借りている。中国企業に打撃も与えています。
「中国企業が保有するドル建て債務は、現在1.5兆ドルを超えている」
つまり、中国企業が1.5兆米ドル以上の借金があり、それを米ドルで返さなければならないのです。
なぜこんなことに?
米国連邦準備制度は 2008年の経済危機以来、歴史的な低金利水準を維持してきたからです。
不動産開発のような巨額の資金を調達する必要のある中国企業は、中国元より「米ドル」を借りた方が安上がりだと気付いたのです。すべての建設費用、プラス多くの派手な不動産ディスプレイを維持するためにね。
同時に、中国の金融部門もアメリカの低金利を利用して安い米ドルを借りて他の事に投資し、より大きな投資収益を得ようと画策。
このAxiosのグラフを見ればわかるように。
中国の借入は、過去10年間で急速に膨れ上がりました。しかし今や、中国通貨が安くなり
全ての債務返済はとても高額なものになります。
例えば、中国の不動産開発業者が建築工事のために借金したとします。10億ドルを借りるため、人民元で支払ったのです。でも今、人民元の価値は約2%下がったので、返済するのに2%の上乗せが必要なのです。
この余分な上乗せ費用が2000万ドルに相当します。
同じように、全体で1.5兆ドルを借りた中国経済はほんの2週間前と比べて、今や300億ドルも負債が増えました。
300億ドルは大変な金額です。
私に学生ローンを組ませた銀行が天使のように見えます。返済しなければ、私の膝を砕くようなものだけど、それでも。
中国元がこのまま続落すると、高コストの米ドル返済は中国企業に深刻な悪影響を与えかねません。
先程も言ったように、人民元安は中国の対米輸出増に後押しとなりますが、これはあくまで長期的な見通しであり、輸出は恐らく負債増加分を補償するほど増加しないでしょう。
誰も、あのバカバカしいラブ・パンダを欲しがらないから、特にね。
ではなぜ、これらのことが重要なのでしょう?
この借金問題は、中国経済にドミノ効果をもたらす可能性があるから。例えば、解雇による失業者の大量発生や信用が枯渇した場合の全国的な景気後退。
つまり、アメリカの関税に対抗する中国共産党の報復手段は、どちらかと言えば、こんな風に終わるのかもしれません。
いかがお考えでしょうか?コメントでお知らせください。
さて、ファンからの質問に答えるコーナーです。クラウドファンディングのPatreonを通して
番組をご支援くださる皆さんに感謝します。
Tuhao Nanookさんからの質問です。
「関税の恩恵を得ているアメリカ業界はある?パパが新しいロレックスが欲しいんだって」
Tuhaoさん、良い質問です。ロレックスは周知の通りスイス企業です。しかし今や中華街で偽物を買うには、10%の関税が掛かります。
真面目な話、多くのアメリカ企業はこの貿易関税の恩恵を受けています。その最たるものは
アメリカ市場で、中国が不当な低価格で製品を投げ売ることによって打撃を受けた米企業。
例えば鋼鉄製造や木材の業界。中国の鋼鉄と木材の輸入価格が上がったので、これらのアメリカ企業が再び競合できるように。電子製品のような複雑なものを製造するアメリカ企業については、何とも言えません。
たとえアメリカ国内で製造したとしても中国産の部品に依存しているかもしれず、それが今やもっと高価に。ですから一概には言えません。
でも間違いなく一部のアメリカの製造業は復活して、より多くのアメリカ人労働者を雇用しています。
利益を追求して中国に進出したアメリカ企業については、その一部はすでにその賭けに負けたのです。あまり可哀そうだとも思いません。
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キャスターのクリス・チャペルでした。また次回お会いしましょう。