中国の知られざる海上民兵「リトル・ブルーメン」【チャイナ・アンセンサード】

別名「リトル・ブルーメン」。中国の知られざる海上民兵は、海の悪警官。

中国海軍の直接できない汚い仕事を引き受けて、中国軍が硝煙のない戦争を勝つように支援する。

チャイナ・アンセンサードにようこそ。キャスターのクリス・チャペルです。

中国海軍は世界最大の海軍の一つです。約400の戦艦や潜水艦を保有。

これらの艦艇は人民解放軍海軍に既に所属か、または所属予定で、中国共産党の軍事組織の一部なのです。

そして人民解放軍海軍は、デッカイ玩具を持て余すビッグボーイです。巨大なハンマーと鎌も。

海軍の主な仕事は、敵対的な外国の侵略者から中国を守ること。例えば、邪悪なイギリスとか、他にも必要とされる場合に備えて、よく知らないけど 隣の島に侵入するとか。

共産党には、第2の海軍と言われるものがあり、「中国海警局」= 中国沿岸警備隊、その所属は中国人民武装警察部隊(=武警)。

武警は中国の準軍事的な警察部隊で、中央軍事委員会の指揮下にあるのです。

中国海警局の仕事は 国内法の執行。中国のことですから、主に反体制の海賊を取り締まるのが仕事でしょう。

中国海警局は 捜索救助活動もします。少なくとも中国国営メディアのカメラの前では。

共産党はさらにもう1つの海上武装組織があります。

知る人ぞ知るこの第3の海上部隊は「人民軍海上民兵」であり、略してPAFMM。PAFMMなんていう略称だから、認知度が低いのも仕方ないですよね。

間違いなく最低の略称だし、船も最悪。

海上民兵の船は通常民間の船で、多くの場合乗組員が漁師です。

ただ他の中国民兵と同様に、海上民兵は人民軍の指揮系統に属し、人民解放軍とは 別の系統です。しかし、軍事任務を開始すると、海軍部隊のように活動します。

時には人民解放軍海軍の指示に直接従うことも。つまり、彼らは普段通常の民間船として操業していますが、中国軍の指令により潜伏スパイのごとく活動を始めるのです。

中国の海上民兵は「リトル・ブルーメン」とも呼ばれています。

この名称を考え付いたのはアメリカ海軍大学のAndrew Erickson教授で、「中国の海上グレーゾーン作戦」の著者の一人。

「リトル・ブルーメン」はロシアの「リトル・グリーンメン」をもじっています。

「リトル・グリーンメン」は軍服を着ないロシア兵士のこと。彼らはクリミアとウクライナで各種の汚い仕事をしながら、公式的には ロシア正規軍と無関係です。

著書「中国の海上グレーゾーン作戦」の中で、Erickson氏が説明しているのは中国共産党がいかに海上民兵を使い他国海軍を困らせ、中国式の硝煙のない戦争を遂行しているか。

つまり、対決を限界ギリギリまで押し上げ、本格的な戦闘となる一歩手前で止めるという手法で、実戦せずに勝利しようとしていること。

時には 海上民兵船自体が武器となって相手の船にぶつけたりします。確かに厳密的には、あの煙は硝煙ではないけれど、でも誰かが戦いを仕掛けているのは明らかです。

彼らはあらゆる非致死的な戦術を使い例えば 強力な放水砲という
外国船の精密機器に損傷しかねないものも”

何故かって?

他国の海軍を追い払い、領有権未解決の黄海、東シナ海、南シナ海に対する中国の領有権の主張を固めるため、時には、十数の船を横繋ぎにして、領有権問題のある海域に我が物顔で乱入することも。

事実、フィリピンは最近外交上の苦情を申し立てました。中国の海上民兵船が フィリピンの管理するスプラトリー島を取り囲んだことについて、数百もの中国の海上民兵船が その海域でフィリピン船の漁業活動を妨害していたのです。

また、航行の自由作戦任務中の米国船の周りにも海上民兵船が群がるのです。

いずれの時も、中国海軍は遠くから眺めているだけ。

しかし、いつでも分け入り本格的な紛争拡大に対応する準備は万端です。アメリカが 海上民兵に過剰な対抗措置を取った場合に備えてね。

「中国海軍は 最高の軍事手法をもっと学ぶため、米国海軍に友好的な警官役を演じるが、一方、悪警官役の沿岸警備隊と海上民兵は東シナ海や南シナ海で敵対的な汚い活動をしているのです」

この火遊びには 海上民兵船が悪警官役をやりすぎてしまう危険が伴うのです。

2009年3月、海上民兵船5隻がアメリカのUSNS Impeccable号を包囲。Impeccable号は、中国海南省沿岸の紛争海域で水中調査を実施していた非武装船です。

民兵船は危険なほどImpeccable号に接近し、近距離で挑発的な操舵を繰り返したのです。

そしてImpeccable号が立ち去ろうとする時、2隻の中国船がImpeccable号の目の前に立ち塞がり、衝突を避けようとしたImpeccable号は、緊急停止措置を取る事態に追い込まれたのです。

幸いなことに、衝突は回避されました。

双方とも怒りに満ちた外交声明による非難応酬の後、事件は敷物の下に掃き込まれ うやむやに。

もし、また同じことが起こったらどうなるでしょう?

例えば アメリカが航行の自由作戦中に、中国の新しく軍事拠点化している人工島付近でもし 今度衝突してしまったら?

たとえ不慮の事故だとしても、どちらかの乗組員が死亡した場合、急速に 外交では解決できない問題に発展してしまうでしょう。そうしたら、人民解放軍海軍が呼び出されて、もはや硝煙のない戦争ではなくなるでしょう。

では アメリカにできることは?

選択肢の一つは、航行の自由作戦を完全に中止すること。

しかし、そうはならないでしょう。なぜなら、アメリカが中止した途端、中国政権が主張する領有権は ココからココまで拡大するから。

アメリカ海軍大学研究員のRyan Martinson氏は別の選択肢があると言います。

「アメリカは様々な非致死性戦術を開発すべき。つまり、武力に頼らずに地域的な効力を発揮できるような戦術」

これには共産党の領有権主張に対抗する航行の自由作戦の継続も含まれます。

彼はさらに指摘して「もし合衆国が効果的なことを望むなら、中国のグレーゾーン活動を暴露することに更なる努力をすべきだ」

その通り。悪事の暴露が必要。

でも、2009年のような「露出」は勘弁してね。あの時 中国漁船の乗組員が下着姿になり、USNS Impeccable号に迫ってきたのです。

理解不能だよ。いったい何をしたかったんだか。

Martinson氏の言う暴露とは、これらの事件が もっとメディアで報道される必要があるという意味。

だから、素晴らしい視聴者の皆さんがお友達やご家族に この番組をシェアすることでその助けになります。

中国共産党が密かに民間船を利用して外国船舶を挑発していることを拡散しましょう。

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キャスターのクリス・チャペルでした。番組をご覧頂きありがとうございました。

 

 
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