「中国のWTO加盟を支持したのは誤りだった」米国通商代表部が報告書に記載

中共ウイルスの衝撃により、中国製の医療品への依存に危険が付きまとうことを各国が意識し始めています。2001年の中国WTO加盟は、中共が世界に経済的覇権を拡大するターニングポイントとなりました。米国が中国のWTO加盟をサポートする中で果たした役割と、それによって米国に降りかかった災いを振り返ります。

米国議会が発表した報告書によると、米国が昨年輸入した個人用防護用品の3割が中国からのものでした。また米国の薬品中の基本成分のうち8割が中国とインドからのもので、インド製のジェネリック医薬品の重要成分の8割が中国から調達されています。

世界のサプライヤーはなぜここまで中国に依存しているのでしょうか。中共政権のWTO加盟は、中国経済を世界に拡大させるという野望を実現するための重要な一歩でした。しかし米国が支持しなければ中共はWTOに参加できなかったはずです。

1970年代の終わりに中共政権は国内経済に対する統制の緩和を開始しましたが、これは経済成長を、中共による統治の正当性を裏付けることを目的としたものでした。また同時に外資の誘致も意図しており、国際貿易規則の抜け穴を利用して自身の発展を拡大することも視野に入れていました。WTOへの加盟は中国にとって、世界の貿易ネットワークに溶け込むためのキーポイントでした。しかしWTOへの加盟を果たすには加盟国の三分の二から承認される必要があります。よって米国との合意に達することが何よりも重要でした。

1979年にカーター大統領(当時)は中国に最恵国待遇を与えましたが、人権記録とその他の実務に基づき毎年審査を受けなければならないとしました。

1989年の天安門大虐殺の後、米国の多国籍企業のロビー活動を受けて、ホワイトハウスは中共への貿易最恵国待遇を継続することを決定しました。

1999年4月、当時のクリントン政権は中共のWTO加盟について中共との交渉を始めました。

1999年11月15日、米中は貿易協定に署名し、中国は関税と貿易障壁の削減に同意し、米国は中国のWTO加盟を支持しました。

その数か月後、『中国貿易法案』が米国議会に提出されました。米国の人権擁護活動家と労働組合は、中国の安価な労働力が米国経済に打撃を与えることを憂慮し、中共に対する年度審査の継続を希望しました。

しかし、米国の大企業は12億の消費者を抱える中国市場を重視し、この法案を支持して政府高官に対するロビー活動を継続しました。

当時の米中貿易全国委員会の委員長だったロバート・カープ氏は、中国がWTOに加盟すれば米国に数十億ドルの利益がもたらされると述べました。

2000年10月、クリントン大統領(当時)は、中共が米国との正常な貿易関係を結ぶことを許可する法案に署名し、年度審査を廃止して翌年にWTOに加盟するための道筋を開きました。

その後数か月の間に、多国籍企業を始めとする80社余りの企業が、生産ラインの中国への移転を発表しました。

外国資本と外国企業の工場が大量に流入したことで、中国経済の発展と輸出の増加が後押しされました。2000年以降、中国のGDPは約4倍に増加しています。

同時期に、米国の対中貿易赤字はふくらみ続け、2000年の840億ドルから2018年には4200億ドルへと約4倍に増加しました。

生産ラインの中国の移転に伴い、管理職部門も中国に流れました。最新の研究報告によると、2001年から2018年にかけて米国で370万もの雇用が流出し、米国自身の製造能力も失われてしまいました。

2018年に米国通商代表部は報告書で、米国が中共政府のWTO加盟を支持したのは間違いだったと認めています。

中共ウイルスが世界に広がる中、中共は依然として感染状況を隠匿して虚偽の発表を続けています。しかしこの事実は、中共政権は信用できないということを米国政府と米国人に改めて突き付けてもいます。

 
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