ネット封鎖突破した男性が処罰 世論が批判「外交部や党メディアもやっている!」

中国陝西省の男性が、ネット封鎖を突破して海外のサイトにアクセスしたとして摘発され、罰金を科されました。この事件は中国のネットユーザーの不満を買い、同じくネット封鎖を突破して海外のSNSにアクセスしている外交部の報道官なども処罰するよう求めました。

5月19日早朝、陝西省安康市(あんこうし)公安局漢浜分局は公式ウェイボーアカウント「漢浜公安」から、「分局の情報指揮センターは17日、何者かがネット封鎖突破ソフトを使用して海外のインターネットにアクセスしたことを発見し、調査の結果、楊という男性が昨年9月にスマートフォンに2つのVPNソフトをインストールし、海外ネットワークに違法にアクセスしたことが分かった」と発表しました。

通達ではさらに、楊は容疑を全面的に認めており『コンピューター情報ネットワーク国際ネットワーク管理暫定規程』第6条、第14条の規定に基づき、行政警告を与えるとともに、人民元500元(約7500円)の罰金を科すとしています。

漢浜分局はさらに、逮捕後の男性の写真を添付しました。大衆に対する警告とみられます。

この事件に対し多くのネットユーザーから不満の声が挙がり、中共外交部報道官や中共メディアの「環球時報」の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長らがネット封鎖を突破してツイッターなどを使用していることを次々と告発し、さらに彼らの投稿のスクリーンショットを「漢浜公安」に転送して分局に彼らを逮捕するよう求めました。その後、「漢浜公安」は投稿とコメントを削除しました。

湖南省の反体制派の欧彪峰さん
「非常にばかげている。独裁政権体制の中国においては、とんでもないことが起こる。役人は放火が許可され、庶民は明かりをつけるのも許されないと言っているのと同じだ。人民日報や外交部の報道官など、政府の話はネット封鎖を突破してツイッターで発信されているのに、庶民は情報を得ると処罰される。ばかげた話だ。しかも中共政府がネット封鎖を突破してツイッターで発信しているのはどれも嘘八百だ」

中国の元NGOメンバー 楊占青さん
「ファイアウォールを設置して、人民が国外サイトの各種情報にアクセスできないようにしていることがそもそも違法で、通信の自由を制限するものだ。そして今ではネット封鎖を突破したら処罰される。これも違法だと思う。そして人民が各種インターネット通信を行う権利をさらに抑圧している」

中国の元NGOメンバーの楊占青(よう・せんせい)さんは、今回の疫病流行は中国の民衆に耐えがたい苦痛を強いたため、中共は人民がインターネットから関連情報を入手するのをさらに制御しようとするだろうと指摘しています。

中国の元NGOメンバー 楊占青さん
「民衆は少なくともインターネットで情報を見つけるだろうし、責任が追及される可能性もある。だから彼らは(社会の)安定を維持し、統制を強める必要がある。つまりどんな災いであっても、彼らは人民に対する統制を緩めるどころか、その分野の支配を強化するということだ」

ネット封鎖の突破を指摘された環球時報の編集長、胡錫進は19日午後にウェイボーにも投稿し、漢浜分局の処罰に反対を表明しました。彼は、「違法」というレッテルを好き勝手に貼ってはならないとコメントしましたが、投稿はすぐに削除されました。

これについて楊占青さんは、胡錫進の批判は彼自身のネット封鎖突破を擁護するためのものだと指摘し、またこの事件で胡錫進の顔が平手打ちを食らった格好になったため、少なくとも表面的に批判しているのだろうとも述べています。

 
関連記事