振るわない中国経済 李克強総理が空き工場の有効活用を指示【禁聞】

中国の李克強総理は7月6日、貴州省銅仁市(どうじん-し)の会社を視察した際に、途中で多くの空き工場を目にしたことに触れ、企業がこれらの工場を利用して生産をさらに拡大できるよう現地政府が彼らをサポートすることができ、かつ「現地の農民工の人々の募集を増やす」こともできると述べました。

銅仁市政府公式ウェブサイトによると、李克強総理がその日に視察したのは銅仁市ハイテク開発区光智南呂の倍易通科技園にある「倍易通科技有限公司」(ベストワン・テクノロジー)で、同社は銅仁市が深圳から誘致したスマート端末の大手企業です。

台湾の中央社は、李克強総理の発言は、現地の製造業の生産ラインが停滞していることを裏付けているほか、疫病終息後の中国経済が今も上向きになっていないことを反映していると考えています。

中国の金融専門家、何軍樵さん
「経済状況は芳しくないはずだ。こんなにも多くの工場が空き状態にある原因は二つある。一つは、ここに開発区を作ったのは土地の無駄だったということ。誰も移転して来ず、空いたままだった。あるいは工場が倒産して退去したのかもしれない。どんな風であっても、経済状況が好転する兆しがないのは確かだ」

李克強総理は最近、国民生活について触れる際に必ず中国経済の苦境について述べています。5月28に全国人民代表大会閉会後の記者会見を行った際にも、「6億人の月収が1000元(約15000円)だ」と発言したことで大きな衝撃が走りました。その後6月1日に山東省煙台市(えんたい-し)を視察した際にも露天経済や小規模店経済を「就業単位の重要なソース」であると位置づけて、その支持を表明しました。

しかし露天経済は10日間で終わってしまいました。今回李克強総理が行った、地方政府が企業の空き工場の利用をサポートするという提案は、経済にプラスになるのでしょうか。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「今中国には空き工場、空きオフィス、空きオフィスビルが山のようにある。あなたがこの工場を所有しているからといって、人をすぐに雇い入れることができるということではない。人を雇っても何を生産するのか?また商品を生産するというが何を売るのか?売りさばくことができるのか?市場はあるのか?その後収入を得ることができるのか?それとも赤字になるのか?こうしたことがまったく考慮されていない」

中国の金融専門家、何軍樵さん
「実際の状況は、中央政府のお偉い李様が言ったこととは異なる。この制度をどのように利用するかは、地方政府にとって大きな問題だ。しかも中央政府には金がない。これは誰もがとっくに知っていることだ。地方政府は多額の地方債務を負っているので、この投資を行う金がない」

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授は、中共が行うべきことは人民に「やり方を示す」ことではなく、締め付けをやめることだと指摘しています。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「中共はまず市場を開放し、それから国営企業の独占を解消して民間(企業)との競争をやめさせる必要がある。これが最善だ。中共は国営企業の独占を強化しながら、これらの既得権益集団に最も利益の上がる分野を厳格にコントロールさせる一方で、庶民は露天の店と路上の小売りに分けて、都市管理員が危害を加える。あれこれと述べたててすべて庶民を騙したりそそのかしたりしている」

経済的な圧力により、中共の劉鶴(りゅうかく)副総理が「経済の内部循環」を提起しました。また雇用率を引き上げるため、中共教育部は最新の発表の中で、2020年の大学新卒者就業データ統計の規定でこれまでは正規の職業として認められていなかった「ネット個人販売」や「公式アカウントブロガー」、「ゲーマー」なども正規の職業として集計するとしています。人力資源・社会保障部も7月6日に通達した文書で、「ネット個人販売」を正式な職業として認可すると発表しています。

中国の金融専門家、何軍樵さん
「(雇用)の数字を見栄えよくしたいなら、直接手を入れればよい。効果的な方法が必要と思えば、効果的な方法を出せばよい。この種の方法を使って人から嘲笑されるべきでない。中国経済の真の試練はまだ来ていない。全体的に見れば基本的にすべての準備が終わっていて無理にでもやるしかない。本当の圧力は米国の大統領選の後だ。大統領選の前には大したことは起こらないとみている」

中国の今年の第一四半期のGDPは前年比で6.8%減少し、過去数十年で最低を記録しました。またブルームバーグの市場経済研究者の調査によると、中共肺炎の大流行に伴う操業停止や生産停止と、世界的な需要の崩壊によって、中国経済の2020年のGDP成長率は2%を切ると予測されています。

 
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