洪水被害が続く中国 四川や山東で甚大な被害【禁聞】

長江の「2020年第4号洪水」のピークが16日に三峡ダムを通過したばかりですが、18日には今年最大とされる第5号洪水が重慶市を通過し、市街地が浸水しました。三峡ダムはさらなる水の流入に備えて、9つの水門から放水をはじめました。このほか、山東省でも大雨によって、大きな被害が出ています。

四川省は今年、何度も洪水被害に見舞われており、まるで「車懸かりの陣」を敷かれているようです。8月14日から16日までの間、四川省気象局の大雨警報レベルは3日連続で引き上げられ、青から黄色、そしてオレンジ色へと変わり、大雨の範囲と強度も連日増加しています。

8月16日、四川省成都での集中豪雨により、成都周辺の高速道路の一部が閉鎖され、成都双流国際空港では大規模なフライトの遅延が発生し、市内の一部の道路が冠水しました。 成都天府(てんぷ)大通りは道路の浸水が深刻で、二人の男性が道路を泳いでいます。また、ネットユーザーがアップロードした動画では、大型バスですら半分水に浸かっています。

通行人
「成都天府大通りの南は水がこんなにも深い。こんなに深い水の中を歩かないと家に帰れない。大袈裟だろう?」

出前配達員
「ここでは4〜5つの居住区が浸水している。泳いで出前を持って来たんだ」

成都の浸水したあるホテルでは、宿泊客が水に浸かりながら食事をしています。

四川省広元市住民 王さん
「厳しい状況だ。出歩くこともできない。20時間雨が降り続いた。1階にある店舗は浸水し、損失が出ている。低い所に位置する店は、商品が全部流され、車も流された」

ネットユーザーがアップロードした動画には、店舗の商品が水に流されています。このすきに、商品を拾って持っていく人の様子が映し出されています。

四川省広元市住民 王さん
「補償はない。共産党政府は補償はしない。不満はもちろんある。でも自分で我慢するしかない。数十年愚痴をこぼしているけど、何か変わったか?」

大雨の影響で、四川省の31の河川が警戒水位を超えました。16日の日中に、沱江(だこう)の水が溢れ、成都市金堂県が50年ぶりの大洪水に見舞われました。道路が冠水し、 水の深さは大人の腰まであり、建物の1階はほぼ全部浸水しています。

金堂県は17日、毎秒8500立方メートル以上の洪水が通過し、史上最高を記録しました。金堂県のネットユーザーの投稿によると、金堂の旧市街全体が浸水したが、政府による発表はほとんどなく、さらには微博のホット検索ワードからも徐々に消えています。

成都市の他に、徳陽市、綿陽市、広元市、アバ・チベット族チャン族自治州などの農地、交通、水利などのインフラが、16日の洪水で被害を受けています。複数の市や県で、土砂崩れや堤防の損傷、農地の浸水が発生し、道路が川に変わり、車が水没し、多くの人々が閉じ込められました。

また、山東省も豪雨に見舞われました。16日、臨沂市(りんぎ-し)沂南県(ぎなん-けん)共産党委員会宣伝部は13日夜から14日午後7時までの集中豪雨によって、張莊鎮(きょうそうちん)では牧畜場が深刻な浸水に見舞われ、100頭以上の牛が溺死したと発表しました。

ネットユーザーがアップロードした動画には、洪水で流されていく多くの牛や、道端に牛の死体が並んでいる様子が映し出されています。

民衆
「溺死した。お天道様、数えきれない」

山東省臨沂市住民 梅さん
「臨沂では当時豪雨が降った。とにかく被災状況は深刻だ。(子供の声)浜河大通りが全部水没したんだ。大雨の前に、洪水予防対策などはなかった。だから土砂崩れなどが発生し、庶民の豚や牛、羊が流されて行った」

今回の大雨は地元の気象記録が始まって以来の最大の大雨で、臨沂市のネットユーザーが撮影した写真によると、ショベルカーやフォークリフトが3時間も経たないうちに完全に水没しています。また、臨沂市の多くの村が水没し、土砂崩れが発生しました。

山東省臨沂市住民 梅さん
「本当のことを言うと、天災については庶民はどうしようもない。しかし、今は科学技術があるから、多くのことは事前に防止できるはずだ。なのに官僚は何をやっている?形式ばかり重じ、表面上のことばかりやって、実際のことは何もやっていない」

中国では洪水以外にも、14日に黒竜江省密山市富源郷珠山村で竜巻が発生し、電柱や街灯が倒壊し、トタン屋根が吹き飛ばされ、68軒の民家が被害を受けたほか、1590ムー(約15.8ヘクタール)の農作物が被害を受け、うち925ムー(約9.2ヘクタール)は農作物の収穫が絶望的となっています。

 
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