習近平氏が再び「戦争に備えよ」 軍部との駆け引き?

先日、習近平氏は中共政治局の会議で、戦争に備えることを強調しました。中共上層部は一か月足らずで3回も戦争に備えることについて言及しており、外界から注目されています。また、NATOの最新改革報告書では、中国の軍事的脅威に真剣に対応することの必要性を強調しています。

中共の官制メディアによると、習近平氏は11月30日の中共中央政治局の会議で、戦争に備えることに焦点を当てるよう要求しました。会議では軍隊の政治工作、統一戦線工作、共産党員の権利保障などの3つの項目について審議を行い、「共産党の指導」を強調しました。

NATOが発表した最新改革報告書では、中国の軍事的脅威への対応を真剣に検討しなければならないと示しています。 NATOのストルテンベルグ事務総長は、報告書を発表する前に、中共はNATOの安全に大きな脅威を与えていると表明しました。

習近平氏はなぜ、一か月の内に3回も「戦争に備える」ことに言及しているのでしょうか。中国問題専門家の薛馳(せつ・ち)さんは、習近平氏は政権を握ってから軍の改革を行い、反腐敗キャンペーンで政敵を倒して軍権を手に入れたものの、軍隊の大規模人事異動後は、軍隊の中に腹心がいないために軍の各派閥を完全に掌握することができていないと分析しています。最近は軍事力の増強を繰り返すことで、軍部の忠誠心を獲得しようとしています。

中国問題専門家 薛馳さん
「彼は今国内に向けては、軍隊の訓練と戦争の準備を呼びかけ、対外的には、特に台湾に対して、軍事力を示している。これによって政治に対する軍隊の影響力が高まっている。一方、軍のタカ派勢力が、政治に対する発言力が大きくなると、習近平と駆け引きをし、習近平はタカ派の忠誠心を得るために、軍への投入を増やすしかない」

薛馳さんは、軍のタカ派の強い戦争姿勢と「戦狼外交」の組み合わせによって、中共はますます軍国主義に向かっており、非常に危険だと考えています。NATOの最新レポートに加え、アジアでも中共を牽制するための「アジア太平洋版NATO」の創設が検討されています。

習近平氏は中共のトップの座についてから、党内の立法、軍の政治活動、中国共産党の指導力を強調しています。しかし、旧ソ連崩壊前の軍事的反乱が中国で現れないとは誰も断言できません。

 
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