豪産石炭を輸入禁止 中国各地で電力使用を制限

中国当局のオーストラリアに対する報復措置の対象範囲は石炭産業にまで及びました。オーストリア産石炭の輸入を禁止したことにより、中国各地で電力の供給不足が起こり、工場が操業停止されるなど、人々の生活と経済に大きく影響を与えています。現在、電力使用制限の範囲は拡大しつつあります。

浙江省義烏市(ぎう-し)では最近、広範囲にわたり電気の使用が制限され、多くの工場が操業を停止させられました。

ネットユーザーの投稿した動画では、義烏市では夜間においても街灯が消灯しています。

義烏市某企業責任者 呉さん
「(地元)電気使用が制限され、当局は企業をA、B、C、Dの4つのカテゴリに分類し、Aカテゴリの企業には使用制限なし、Bは1日休業、Cは2日休業、Dカテゴリの企業は営業停止などの措置が設けられている。そのため、多くの労働者は早めに年末年始休暇を取り、帰省することを考えている」

ネット上で流れている、義烏市の「エネルギー双方向制御」案では、企業を4つに分類し、3日営業1日休業、2日営業1日休業、2日営業2日休業、または営業停止に分けています。

今回の電力使用制限の通達により、一部のオフィス、銀行、国営企業の事業所等でのエアコン、エレベーター、暖房設備の使用が禁止されており、多くの人に不便をきたしています。

現地のある対外貿易企業では、一年で最繁忙期である年末期間の電気使用制限が商売に非常に大きな影響を及ぼしているとされています。また、ある中小企業では、残業して納期を合わせる予定でしたが、電気使用制限により混乱を招いています。

湖南省の衡陽(こうよう)市、益陽(えきよう)市、湘潭(しょうたん)市などの地区でも電気使用制限の通達が出されました。通達では、気温が3度以下でない限り、エアコンや暖房器具の使用が禁止されています。

湖南省某企業責任者・文さん
「電気使用制限の通達が出されてから、事務所で電気使用の制限措置を取られ、室内温度が何度以下でなければ、暖房を使用することが許可されない規定もある。現在、幹線道路を除く全ての道路や郊外の街灯は全部消灯している」

電気使用制限は、陝西省、江西省、内モンゴル自治区にまで拡大しました。

豪メディアはこのことについて、中共当局が豪州産石炭を輸入禁止にしたため、電力不足が発生し、各地で電気使用制限を始めたと報じています。

統計によると、2019年に中国が発電に使用した石炭のうち、豪州産石炭の割合が輸入石炭全体の57%を占めています。今年は豪中関係の悪化により、10億豪ドルに相当する70隻以上の豪州産石炭を積んだ貨物船が中国の港湾沖に足止めされています。なかには、半年以上停泊させられている船舶もあります。

 
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