北京や上海でも大規模停電 専門家「電力が軍需用途に使われている可能性」【禁聞】

広東省に続き、上海と北京の一部地域でも12月22日に停電が起こりました。その前には浙江省、湖南省、江西省でも電力不足が起きており、政府が停電の原因を説明しないことをいぶかしむ声が上がっています。

上海市は12月22日に停電通知を出し、北京市の一部地域でも21日から停電が始まりました。25日までに毎日12時間の停電が続くと通知されたために耳目を集めていましたが、関連の報道はその後削除されています。

官製メディアは22日に「デマを打ち消す」として、上海の停電は「計画の範囲内で行われる安全点検修理」だと報じ、国家電力網華東分部も「現在上海で電力不足は起きていない」と発表しています。

しかし中国の複数の省と市では今も「電力不足」が発生しており、21日には広東省の広州市、東莞(とうかん)市、深圳(しんせん)市、佛山(ぶつざん)市、珠海(しゅかい)市の一部地域で予告なしの停電が起こっています。通りから明かりが消え、インターネットと水道が使用不能になり、多くの住民がなすすべもなく途方に暮れています。また5日以降、浙江省、湖南省、江西省、内モンゴルなどでは電気の使用制限が行われており、国家電力網公司のウェブサイトは19日に、国家電網湖南電力はすでに「戦時状態」に突入したとの情報を発しました。

世論からの視線を受け、現在までに当局は「工業の回復」「寒波によって暖房ニーズが高まった」「年末の排出削減指標」といったさまざまな理由を挙げていますが、民衆は政府が停電の本当の理由を明らかにしていないと考えています。

新浪財経は21日に「衝撃的な『電力不足』『石炭不足』が今、各地を席巻している」として、中国では5月からすべての輸入石炭を制限しはじめ、国内生産分では追い付かず、中国では思いがけない石炭不足が発生したと報じ、現在は「北方の港ではすでに低硫黄(てい いおう)の上質の石炭の供給不足が起きているだけでなく、各種石炭がすべて不足し、価格も以前より上がっているがそもそも品物がない。この時に豪州の石炭は中国から拒否された」と報じています。今回の大規模な停電と電力使用制限、石炭不足によって、中国のエネルギー供給体制の抱える欠陥が明らかになりました。

民主中国陣線の主席で欧州シドニー大学社会学博士の秦晉氏
「中国政府は西側とやり合う中で、特に豪州産石炭の輸入禁止を行ったが、これらの措置により、彼らには使える石炭がなくなった。この一点について、中国政府はそのことを説明したくないと考えているだろう。そしてそのために中共自身の全体的な政治統治コストも絶えず増大しており、西側諸国と対立する中で、自国の経済にさらに損害を与えていることが感じられる」

天安門事件の際の民主化運動活動家で、コロンビア大学政治学博士の王軍濤(おう・ぐんとう)氏は、昨年11月19日付けの人民日報に、世界各地で大規模な停電が発生したが中国では起きなかったという偽情報の記事が掲載されたことを指摘しています。その理由には、中国の給電設備が大規模に増加し、すでに全国で電力網が実現し、電力設備に三級保護が実施されたといったことが挙げられていますが、それなのになぜ一年後に「電力不足」が起きたのか。中国経済が中共肺炎によって打撃を受けたことを考えると、大規模な需要が突然発生するとは考えにくい状況だと指摘します。

天安門事件の際の民主化運動の活動家で、コロンビア大学政治学博士の王軍濤氏
「ある可能性を考えている。もしかしたら戦争を準備しているのかもしれないと推測している。一部の地方では電力の需要が急に増え、これは実際には軍需工場と軍事用途に限られていて、突然使用量が増えることがある。特に地下施設を建設するといった場合はその場所で電力使用量が急激に増加する可能性がある」

湖南省は軍需産業が盛んな省で、国防科学技術工業の重点省の一つにも数えられており、浙江省と江西省にも軍事産業グループがあります。王軍濤博士は、南方で何らかの大規模なプロジェクトが進行中なのではないかと分析しており、民需を保証しないのであれば、軍事用プロジェクトが進行中のはずだと分析しています。また広東省では停電だけでなくインターネットと水道も遮断されたため、別の可能性も浮上しています。

天安門事件の際の民主化運動の活動家で、コロンビア大学政治学博士の王軍濤氏
「四つ目の可能性はつまり、彼らは起こりうる重大な突発事件に備えて、新たな管理テストを行っており、その演習なのではないか」
ラジオ・フリー・アジアは、上海市の元教師、顧國平(こ・こくへい)氏の話を引用して、中国がWTOに加盟してから上海では大規模停電は起きていないため、政府の説明では納得できないとして、「当局は何らかのテスト活動、監視活動を行っているのではないかと推測している。もしそれが特殊な状況における防備作業でなければ、新たなシステムを装備して、緊急状況で採られる措置である可能性がある。例えば戦時中に発生する可能性のある何らかの状況に対する予備演習とか防備などだ」と報じています。

 
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