中国で301万軒の店舗が倒産 専門家は消費活動と雇用情勢の悪化を懸念

最新データにより、昨年1月から11月までの間に中国大陸で合計301万軒の店舗が倒産し、なかでも東部沿岸都市の商店街に店を構える店舗の倒産件数が最も多かったことが明らかになりました。評論家は疫病のほか、米中貿易戦争が中国の実体経済に与えた衝撃が、消費活動や雇用といった多くの分野に波及したからだと考えています。

上海市民
「(人が減りましたか?)かなり減った。もともとここは店舗や人であふれていた。だがここらの店は一つ開店しては一つ閉店した。人もいない」

あるネットユーザーは、賑わいをみせていたかつての上海商店街四川北路が様変わりした様子を撮影しています。ここに70年住んでいるという高齢者は、ここの店舗はずっと店を開くことができないでいると語っています。

また、広州の一部のアパレル実店舗、大都市の商店街、デパートでも店舗の閉鎖や倒産が相次いでいます。

先日、中共党メディアの雑誌『半月談』は企業情報サイト「企査査」のデータを引用して、昨年1月から11月までの間に中国で営業許可の抹消や取り消しを申請した自営業者などの店舗は合計301万軒にのぼったとして、それらは主に東部沿岸地域に集中し、江蘇省、広東省、山東省が最も多かったと報じました。

調査によって、市内の観光地やビジネス街の店舗の倒産件数が、居住区の店舗の倒産件数をはるかに上回っていることも明らかになっています。また、市民の基本的な生活との関連性の低い、教育訓練機関やフィットネスといった業界での倒産が多いことも明らかになりました。

中国企業評論家の文瑞氏
「そのため彼ら(企査査)が調査したのは、そもそもそのなかのほんの一部の、つまり登記済みの企業だったのだ。小規模店舗はこのようにたくさん倒産する可能性があるが一般的には分からない。だから実際には倒産件数はもっと多い。よって、中国での消費活動の低迷は今非常に深刻になっており、多くの人は基本的な生存環境を維持することに自分の消費活動を集中させている。生活の基本的なニーズと関連性の低い業界はやっていけないので倒産してしまった」

中共党メディアは、相次ぐ小規模店舗の倒産は昨年の疫病流行が影響していると報じていますが、中国企業評論家の文瑞(ぶんずい)氏はこれに異議を唱えています。

中国企業評論家の文瑞氏
「東部沿岸地域は相対的にみて経済が発達しており(生活)レベルも高い。もう一つの理由は、東南の沿岸部では以前は輸出が多かった点だ。疫病だけが打撃を与えたわけではなく、恐らく貿易戦争も関係しているだろう。中国経済の悪化による影響は明らかだ」

2019年に行われた中国第4回全国経済全面調査のデータによると、個人商店1か所あたりの被雇用者数は平均2.37人で、300万軒の店舗が倒産すると少なくとも700万人以上に影響が及ぶことが分かっています。文瑞氏は、これに中小企業を加えた場合、一社当たりの被雇用者数は10人~100人となるため、中小企業の倒産は雇用全体に非常に大きな影響を及ぼすと警鐘を鳴らしています。

 
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