チェコ大富豪が墜落死 中共との深い関係

チェコの大富豪ペトル・ケルナー(Petr Kellner)氏がヘリコプター墜落事故で死亡しました。ケルナー氏が実所有者であるホームクレジット(Home Credit)は、中国で消費者金融ライセンスを取得した唯一の外資系消費者金融会社であり、中国、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、南アジア及び東南アジアで事業を展開しています。ケルナー氏は、生前に中国共産党の海外における影響力の拡大に助力したとして問責されていました。

チェコ一の富豪で投資会社PPF(Prvni Privatizacni Fond)グループの創設者であるペトル・ケルナー(Petr Kellner)氏は、3月27日に米アラスカ州でのヘリコプターの墜落事故により死亡しました。PPFグループは29日にケルナー氏の死亡を明らかにしました。

中国の経済情報サイト新浪財経(シナ・ファイナンス)の3月29日付の報道によると、PPFグループの子会社であるホームクレジット(Home Credit BV)は、中国に参入してから3年後の2010年に消費金融ライセンスを取得し、中国で最初の外資系消費者金融会社となりました。ホームクレジットの総資産は昨年6月末で225億ユーロに達し、PPFグループの総資産の半分以上を占めています。

チェコのニュースサイト「Aktualne.cz」の昨年12月11日付の報道によると、ホームクレジットは、チェコの主要ポータルサイトInfo.cz上で、中共を宣伝する有料広告を掲載しました。また、ホームクレジットが影響力を行使するシンクタンクのシノスコップ(Sinoskop)を通じて定期的にメディアと取材を行い、親中共派世論の形成に助力しました。

香港メディア「端傳媒(イニティウム・メディア、Initium Media)」は2020年11月19日に、ホームクレジットの実所有者であるケルナー氏は、中共がチェコのミロシュ・ゼマン大統領を丸め込むためにロビー活動を行った二人の中の一人で、もう一人は中国のエネルギー複合企業・中国華信能源(CEFC)グループの元CEOで、ハンター・バイデンとも繋がりのある葉簡明(よう・かんめい)氏だったといいます。

ケルナー氏ら協力のもと、ゼマン大統領と習近平総書記の相互公式訪問が実現し、「一帯一路」計画を含む多数の協定が締結されました。

2018年、ケルナー氏のPPFグループと中国中信グループ(CITIC)は、チェコと中国両国間の「新シルクロード(一帯一路)」計画の一環として戦略的協力覚書を締結しました。 2020年4月、中信グループは、チェコで最大のメディアグループであるメデア(Medea)の大量の株を取得し、ヨーロッパでの中共の「対外プロパガンダ」の主要な拠点となりました。

ケルナー氏が乗り込んだ観光ヘリコプターが墜落した原因は現在まだ調査中です。

 
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