中共国家統計局が近日発表した報告書によると、昨年の中国の農民工の平均月収は4072元（約６万8800円）でした。しかしこの数字は、６億人が月収千元しかないと言った李克強総理の発言とはかけ離れています。いったいどちらが正しいのでしょうか。
中共国家統計局が４月30日に公開した、『2020年農民工モニタリング報告』によると、2020年中国の農民工の数は２億8560万人で、昨年より1.8%、517万人減少しました。うち、外出農民工、つまり６か月以上地元を離れて都市で働いている農民工は１億6959万人で、前年に比べ2.7%、466万人減少しましたとしています。
報告によると、2020年の農民工の平均月収は4072元で、2019年から110元（2.8％）増加しました。そのうち、外出農民工の平均月収は4549元で、2019年から122元（2.7％)増加し、本地農民工、つまり地元で農業以外の仕事に６か月以上従事している農民工の平均月収は3606元で、2019年から106元（３％）増加しました。
また、2020年は疫病の影響で、サービス業に従事する農民工の割合が51.5%となり、前年よりわずか0.5%の増加となりました。第二次産業に従事する農民工の割合は48.1%で、前年から0.5%減少しました。
報告書ではまた、各地で働く農民工の月収平均はいずれも増加しているとしています。中でも東部地区で働く農民工の月収平均は4351元(約７万3300円)と最高となりました。次が西部地区の3808元（約6万4000円）で東北地区が最低となり、3574元（約6万0200円）でした。
広西チワン族自治区出身の農民工、明さん
「１か月の収入が4000元以上もあるわけがない。1000〜2000元（約1.7万円～3.4万円）だろう。私の兄嫁や私の甥、そして私の弟のようにだ。私の弟の妻は教師だからちょっとはましだろう。私の兄、兄嫁、甥には定職はない。自宅で小さな商いをしているが、基本的には年末までの間、お金を蓄えることはできない」
広東省で働いている広西チワン族自治区玉林出身の農民工、明（めい）さんは取材に対し、農民工に平均月収が3000元から4000元もあるわけがないとして、共産党の言うことを信じる人など誰もいない、農村の住民でさえ信じていないと答えました。
広州交通銀行の元ファイナンシャルプランナー、施華偉さん
「差があるにもほどがある。1000元が4000元になるなんて、あまりにも開きがある。給料の伸び幅も大きすぎるだろう。もしその農民工が本当にそれだけ稼いでいたら、飛び上がって喜ぶだろうと思う。だが実際にはそんなことは起こり得ないはずだ」
広州交通銀行の元ファイナンシャルプランナー、施華偉（し・かい）さんは新唐人テレビの取材に対し、「自分の故郷の大卒者で、広東省の工場で管理職に就いている人がいるが、２か月前の月給が6000元（約10万円）ほどだった。だが彼の収入は一般従業員よりはるかに多いのだ。だから一般従業員なら2000元から3000元ももらえればいい方だ」と述べています。
施華偉さん
「２億以上、ほとんど３億の人がこんなに高い収入を得ているとは… あり得ない。どちらにせよ、中共が常に、人々の心を安定させるために、常に『全てがこんなに素晴らしいんですよ、すごいですよ』と宣伝しているのだ」
施華偉さんは、「まだ疫病が発生していなかった２年前、地元広州の同窓生が広州で不動産管理の仕事をしていた時の収入がやっと4000元だった。もし農民工が技術者なら4000元稼げるだろうが、全農民工の平均月収が4000元以上もあるというのなら、その話の信憑性は低い。だが自分と香港の大富豪の李嘉誠（り・かせい）の収入を足して二で割ったら、私も金持ちということになる」と指摘しています。
昨年５月28日、中共国務院の李克強総理は記者会見で次のように述べました。
李克強総理
「６億人の月収が1000元だ。1000元では中規模都市で部屋を借りることも困難だろう」
中共経済体制改革研究会の元会長である宋暁梧（そう・ぎょうご）さんは昨年10月発表した文章で、「北京師範大学の収入分配研究院の調査資料によると、月収500元以下、1000元以下、2000元以下の人が総人口に占める割合はそれぞれ7.5%、23.5%、50.7%であるため、この数値から推測すると、全中国人のうち月収が500元以下の人口が１億1000万人、1000元以下が３億1000万人、2000元以下が７億1000万人いることになる」と指摘しています。
ラジオ・フランス・アンテルナショナルは、中共国家統計局のデータは、「６億人の月収が1000元に満たない」という李克強総理の発言を疑問視し、習近平国家主席の「中国は貧困を脱した」という発言を支持しているようだと報じています。
