自宅テレビが情報収集 専門家「中国の家電は監視ツール」【禁聞】

中国のあるネットユーザーがSNSのフォーラムに、自宅のテレビが家中のネットワーク接続機器を監視しており、それだけでなく隣家の情報までスキャンしてデータを自動的に送信していると明かしました。専門家は、中国で販売されているテレビのほとんどにカメラとマイクが設置され、民衆の監視とデータ収集に使われていると指摘しています。

中国のあるネットユーザーがSNSフォーラムに「自宅のテレビはアンドロイドシステムだ。このテレビの動作が最近重いのでバックグラウンドを確認したところ、『GZデータサービス』というものがオンになっており、10分おきに自宅内の全てのインターネット接続機器をスキャンしてドメイン名「gz-data.com」に送信していることが分かった」と投稿しました。 つまりこのテレビは、自宅にどんなIT機器があるか、スマートフォンは家にあるか、自宅に誰が来てインターネットを使ったか、隣家はどんなwifiを使っているかといった情報を常に収集して送信しており、個人情報が筒抜けになっているということです。

多くのネットユーザーが自分も同じ経験をしたとコメントを残しています。あるネットユーザーは「自分のテレビは小米(シャオミ)のルーターを使っているが、3秒ごとにドメイン名を要求する。どうしたらいいか分からない」と投稿しています。

米国のメディア・エンターテイメント企業のアイハートメディアのコンピュータ技術者である張羽博(ちょう・うはく)氏は、テレビが情報をスキャン・収集する主な目的は、ネットワークに接続された全ての機器をリモートコントロールできるようにするためだと指摘しています。

米国のメディア・エンターテイメント企業iHeartMediaのコンピュータ技術者、張羽博氏
「私たちは通常、プログラムを書く時はクライアントとサーバーの間のデータ通信の維持の問題があり、つまりそれが維持されて、あなたの機器とリモートサーバーの接続が維持される。接続を維持してそれがどのような働きをするのかというと、あなたの機器を遠隔制御できるようになる」

張羽博氏は、数秒ごとにこうした情報通信が行われるのなら、遠隔操作でプログラムを更新し、それから彼らが埋め込みたいプログラムをあなたの機器に埋め込んでいるのだと述べています。

張羽博氏
「全てのアンドロイドプログラムは、中国大陸で生産された製品であれば、これが可能だ。つまり、あなたがwifiに接続していれば、そのwifiに接続しているその他の機器をスキャンできる」

ネットユーザーが言及した「GZデータサービス」とは、「北京勾正(こうせい)データ科技有限公司」のことで、この会社は中国大陸のスマート大型スクリーン分野における最初のビッグデータ企業で、2018年末の時点でスマートテレビ端末1億300万台をカバーしており、全ネットワーク機器の55%を占めています。

2019年4月、GZデータはすでにスカイワース(創維数碼)、TCLといった大企業と長期戦略的パートナーシップを結び、システムレイヤーに「ソフトウェア開発キット(SDK)」を埋め込むことによって、スマートテレビでデータを収集できるようになりました。

今年4月上旬、GZデータは「単独で分析が可能な都市の数が121にまで増えた」と発表しています。

4月26日、GZデータはメディアからの問い合わせに回答した際、テレビで収集されたデータは純粋に、指向性の高いコマーシャルを提供するためだとしたほか、これはGZデータだけが行っているわけではないとも述べました。

張羽博氏は、メーカーが単に市場を理解し、サービスを最適化するためだけにデータ収集を行っているのであればまだいいと述べています。

張羽博氏
「しかし、皆知っていると思うが、こうした中国企業がこれらのデータを入手してから、もし中共がこのデータを使って社会の民衆監視を実現すると言った場合、これらの会社がデータの提供を拒否すると考えられるだろうか。それは不可能だ。間違いなく提供するはずだ」

評論家は、それはメーカーが実質的に、中共に対し民衆監視の手段を提供したに等しいと考えています。

中国のネットワークの自由ウォッチャー、古河氏
「中国で販売されているこれらのテレビの売り場に行って確認すると、ほとんどにカメラが付いている。中にマイクつけるのはいとも簡単で、あなたは全くわかっていない。よって、これらの家電製品が監視ツールに変わったのは、中国共産党が邪悪だからだ。多くの庶民はこのことを全く知らない」

中国のネットワークの自由ウォッチャー、古河(こが)氏は「多くの人は今のテレビは音声制御でチャンネルを変えることができて、それは便利で先進的で大変良いことだと思っている。しかし、その代償は公安部門があなたの自宅に監視カメラを設置するのと同じことなのだ」と警鐘を鳴らしています。

古河氏
「あなたの家にあるテレビは1台だけではないだろうし、他にも薄型テレビ(パソコン)が何台もあるだろう。それらがすべて監視ツールに変わるのだ。さらに悲しいことに、これら国外のテレビメーカーまでもこのエンジニアリングに参加しているのだ」

張羽博氏は、監視から逃れるもっとも簡単な方法は、テレビをインターネットに接続しないか、テレビには単独のwifiを使用してインターネットに接続し、その他の機器とネットワークを共有しないことだと述べています。

中国に住む明(めい)さんは、テレビだけでなく、たくさんの監視ツールがずいぶん前から庶民の家に設置されていると話しました。

中国に住む明さん
「中国は大きな監獄に変り果ててしまった。監獄の中ではカメラを使って犯人を監視している。犯人の一挙手一投足が監視されている。そして今、すべての庶民が犯罪者だ。国家権力は監督されず、民主社会の保証もなく、全人民が奴隷となった」

今年3月、あるネットユーザーがツイッターに「市政府区域ビデオ監視分析」の監視システムの文書を投稿しました。これには中共が「陳情者、薬物販売者・使用者、前科のある人」を「重点人物」として、彼らの行動範囲までも厳しく監視していることが示されていました。

また中共は世界規模で監視活動を行っています。2020年9月に米国の研究者、クリス・バルディン氏は、国有企業の深圳振華データ情報公司が集めた政界・財界関係者、軍事関係者を含む240万人分の個人情報のデータベースを入手したことを明かしました。

 
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