元ファーウェイエンジニアにたび重なる脅迫電話 「帰国して自首しろ」【禁聞】

ファーウェイを退職したエンジニアの金淳(きんじゅん)さんは2019年末に海外メディアの取材を受けてファーウェイのハイテク監視と管理の内情を明かしたところ、それから元の職場や不明な発信元から、帰国して自首するよう脅迫する電話が頻繁にかかるようになったと明かしました。耐えきれなくなった金淳さんは、自分の知るすべてを明らかにすると決心しました。

金淳さんはソフトウェアエンジニアとしてかつてファーウェイ南京研究所に勤務し、ソフトウェア開発プロジェクトに数多く従事していましたが、2019年4月に退職して渡米しました。海外メディアのエポックタイムと新唐人テレビの取材を受けた際に、ファーウェイがイランプロジェクトや監視技術、人権侵害などの話題に触れたところ、それ以降中国国内から頻繁に脅迫電話がかかるようになりました。

ファーウェイの元エンジニア、金淳さん
「私が最初にファーウェイに関する話をした後、文章が発表されて3か月くらいしてから発信元の分からない脅迫電話が頻繁にかかるようになった。相手はすべて中国語を使っていて、しかもどの電話も私に対し、外国でやっている祖国分裂活動を止めて公安部門に自主しろという内容だった。非常に困惑した」

これらの電話をかけてくる人のほとんどは金淳さんの知らない相手ですが、ほかにもファーウェイ時代の上司が何度も電話やウィーチャットを通じて、すでに公安部門に通知したので、帰国して自首しろと脅迫してきました。

この耐えがたい状況に置かれた金淳さんは、ファーウェイはいったい何を案じているのかと考えたといいます。

金淳さん
「私は以前にファーウェイのビッグデータエンジニアだった。私はファーウェイがどうやって個人のプライバシーを、つまり国内と国外のすべての彼らのソフトウェアとシステムを通じて接触できるユーザーのプライバシーを侵害することによって個人の政治的傾向を分析し、こうした方法を通じて世論を誘導し、統一戦線活動を行っているかを知っている。私は彼らが技術面において具体的に何をやっているのかも、欧州や米国のどの法律に抵触しているのかも知っている」

ビッグデータのプログラミングに実際に関与していたことから、金淳さんはファーウェイが個人の嗜好や人格の特性、政治的指向をどうやって収集して中共の統治に協力し、国内外で世論戦と対外宣伝工作を展開してきたかをよく知っています。

たとえば、外国人の携帯電話識別番号(IMEI)を収集して彼らの情報、居住地、交友関係、職業等を把握することは、米国や日本で保障されているプライバシーの保護に関する法律に明らかに違反しています。

このことも、ファーウェイが公安部門と共に金淳さんを脅迫している主な原因です。

金淳さんがファーウェイを辞職して自由な世界で発言することを選択したきっかけは、10年ほど前にアイルランドに留学したことでした。

金淳さん
「10年前にアイルランドに留学した。留学中に自由なメディア、特にYoutubeを見て1989年の天安門事件で何が起きたのか、法輪功事件の真相はなんだったのかを知ることになった。さらに、当時たくさんの外国人の友人と知り合った。なかでもリトアニアから来た友人が、リトアニアがどうやってソ連から離脱し、自由への道を歩み始めたのかを話してくれた」

留学経験とキリスト教に対する信仰心によって、金淳さんに新たな視界が開けました。中国に帰国後、金淳さんはあるソフトウェア企業に就職しましたが、給与の高さに惹かれて2016年にファーウェイ南京研究所で働き始めました。

3年間勤務するうち、金淳さんはファーウェイは営利を目的とする企業というよりも、あらゆるところから情報を盗む諜報部門のようになっていることに気づきました。

金淳さん
「ほかのエンジニアはファーウェイが高給与である点しか見ていなかった。彼らはその給与で家族を養い糊口をしのぐことができたが、私はファーウェイの高給与は長続きしないと考えていた。この高給与も、彼らのやることなすことによって傷つけられた私の心をカバーすることはできなかった。つまり、私は耐えきれなくなったため、他の人とは違う選択をした」

金淳さんは、「いくら社内に頭がよく優秀なエンジニアが多いとはいえ、互いが攻撃し合う共産党の醜悪な文化や、旧ソ連のKGB式の管理モデルの下で、ファーウェイで働き続けることは、自分の良心に背くことであり、永遠に幸福は訪れない」と語っています。

金淳さん
「いまだに中共のために働いている一部のエンジニアに対し私は忠告したい。恐らくあなたたちはみな兵器工場のねじだ。あなた方は自分たちが生産している一部の構成部品が、人をどれだけ傷つけることになるのか知らないのだろう。だが考えてみてほしい。あなた方がもらっている破格の給料は維持できるのだろうか。あなた方が行ったことは、本当にあなた方に幸せな人生を運んでくれるのだろうか」

金淳さんは、中共のハイテク企業で働いている多くのエンジニアが、自分の良心の声に耳を傾け、中共のために悪事を働くことを控えると、別の選択ができるはずだと述べています。

 
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