中国の配車サービス大手「滴滴出行」株価急落

中国の配車サービス大手「滴滴出行(DiDi Chuxing;ディディチューシン)」が本国で大規模な取り締まりを受けた後の最新の動向をお伝えします。報道をご覧下さい。

中国最大の配車サービス会社に対して、更に悪いニュースが続いています。同社の株価は20%以上も急落しました。これは、中共管理当局がDiDi社への取り締まりを命じたことを受けてのことです。ほんの1週間前「滴滴出行」は米株式市場で脚光を浴びました。

投資戦略資産運用会社 クレーンシェアーズ最高投資責任者のブレンダン・アハーン氏
「 DiDi社は約40億ドル(約4300億円)を調達する予定で、同社の時価総額は700億ドル(約7兆6000億万円)規模になる」

DiDiは「中国版ウーバー」とも呼ばれており、そのユーザーは中国で3億人を超えます。しかし最近、同社は損失を出し続けています。

ルネッサンス・キャピタル(投資銀行)のキャサリン・スミス社長
「この会社は現在までに約150億ドル(約1兆6000億円)の損失を計上している。昨年…2020年には20億ドル(約2190億円)、そして今年の第1四半期には10億ドル(約1090億円)の損失だ。つまり損失は膨大な額になる」

同社は現在、米国で多額の資金を調達しようとしています。最近同社は米株式市場に上場を果たし、一般に販売する手続きを開始しました。これは、IPO(新規株式公開)と呼ばれます。

投資戦略資産運用会社 クレーンシェアーズ最高投資責任者のブレンダン・アハーン氏
「これは、潜在的に最大のIPOではないにしても、今年世界で最大のIPOの1つになる見通しだ」

ところが、様々な話題の後に何が起きたのでしょうか?株式を公開してから2日後、中共国家インターネット情報弁公室(CAC)は、DiDi社に対するサイバーセキュリティの調査を命じました。

その後、締め付けは厳しさを増し、中共当局は、サイバーセキュリティ上の懸念を理由に、国内のデジタルアプリストアからDiDiを削除しました。また、アプリの新規ユーザー登録も停止しました。

中共当局は、DiDi社がユーザーの個人情報の収集・利用に関する「重大な違反」が確認されたとしています。しかし具体的に、何が違法だったのかは明らかにされていません。

DiDi社は、今回の取り締まりを受けて中国での収益が打撃を受ける可能性があるとしています。しかし、同社は声明の中で、当局の指導に謝意を表明し、問題に対処することを約束しています。

中共政権がメッセージを送るために取り締まりを利用しているかどうかについては、多くの疑問が残されています。

DiDi社の他に、中共は米株式市場に上場している、中国のトラック配車サービス「満幇集団(フル・トラック・アライアンス・グループ)」と求人アプリ「BOSS直聘(BOSS Zhipin ボスズーピン)」への調査も発表しました。

一つの解釈としては、これらの企業の影響力が中共政権の神経を尖らせているということです。

DiDi社やIT大手テンセントなどの大手企業は、膨大な量のユーザーデータにアクセスできます。これは、中共政権が望んでいない力を与えることになります。

今回の取り締まりは、実際に誰が主導権を握っているのかを思い起こさせるための動きなのかもしれません。

〈字幕版〉

 
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