河南省の水害は「人為的な洪水」

7月20日、中国河南省では記録的な大雨による洪水に見舞われました。人口1200万人の鄭州市では道路が冠水し、自動車が流され、地下鉄の車両の中に多くの乗客が閉じ込められ、多くの人が死亡しました。当局は事前にダムの放水を知らせなかっただけでなく、災害発生後もその対応が遅れたうえ、情報統制を行ったため、深刻な被害を招きました。多くの人は、今回の洪水は上流のダムの放水が原因で、人災であると当局を非難しています。

河南省鄭州市民
「人が流されている。ああ〜、なんてことだ!」

ネット上にアップされた動画では、7月20日、鄭州市では水位が急速に上昇し、道路が瞬く間に川のようになり、人が流されていきました。

鄭州市の洪水対策本部のある内部通知では、「常ダムの堤防の斜面に侵食・破堤の恐れがあり、緊急放水を行っている」と記されています。

しかし、市民には知らせておらず、避難勧告も出されていません。

官製メディアの中央テレビは、「河南省鄭州市の賈魯河(かろが)で記録的な洪水が発生し、21日7時の時点で、最高水位79.40メートルを記録し、史上最高水位を1.71メートルも超過し、流量は毎秒600立方メートルに達した。上流にある常ダムの20日19時の最高水位は131.31メートルで、最大流量は毎秒525立方メートルだった」と報じました。

ドイツ在住の水利専門家王維洛
「この洪水の600立方メートル/秒の流量のうち、525立方メートルはダムからきているのがわかる。つまり、この洪水はダムの放水によって発生したもので、自然な洪水ではないのだ」

ドイツ在住の水利専門家、王維洛(おう・いらく)氏は、中国の洪水には人為的によるものが多いと分析します。

ドイツ在住の水利専門家王維洛氏
「この洪水は、中国のこれらの放水による洪水は、人の手によって発生している。どれくらい放水するかはコントロールできるのだ。だから、中国には自然な洪水は存在しない。全部人為的な洪水なので。彼らが多めに放水すると、下流の危険性は増すのである。死者数については基本的に報告しない。(鄭州の地下鉄で)12人死亡したのも少なめに報告しただけだ。真実の報道はしたことがないのだ」

今回の水害で河南省全体が深刻な被害を被っており、実際の死者数は公式発表よりはるかに多いと見られています。官製メディアは「1000年に一度の豪雨」であるとして、責任を自然界に転嫁しています。

 
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