気候変動に関する論議の検閲に懸念

Googleが気候変動に関する「確立された科学的合意」と呼ぶものに矛盾するコンテンツへの広告掲載を禁止すると発表したことを受け、Googleが科学的議論を封殺しようとしていると懸念されています。Facebookも同様の方針を発表していますが、IT大手のGoogleは昨年、いわゆる「気候科学センター」を立ち上げ、今ではそれを16か国に拡大しています。

気候変動は政策決定者にとって優先議題です。

しかし、気候変動に関する「不正確な」コンテンツを禁止するというGoogleの最近の動きは、気候変動政策が十分に精査されたものではないという懸念を引き起こしています。

コペンハーゲン・コンセンサスセンター所長 ビョルン・ロンボルグ氏
「たしかに、いわゆる気候変動には問題が存在することについて、かなりの証拠があると言われている。しかし、私たちがしっかり議論すべきポイントは、気候変動にどう対処するのかということだ」

「科学的な部分を検閲しようとする人の多くは、実際には検閲を利用して政策にも干渉しようとしているのだ」

「再生可能なものは良い、再生可能なものが解決策だ、世界が終ろうとしているのだから全てを再生可能なものにする必要がある・・・このような主張だけが許されるとすれば、それは危険な兆候だ。事実、再生可能なものが解決策にならないことも多いのだ。そして、これは問題ではあるが、世界の終わりなどではない」

「議論の場が持てなければ、私たちは益々情報不足に陥るだけでなく、誤った政策で多くの資源を浪費することにもなるだろう」

ロンボルグ氏は最近、医学雑誌「ランセット」の論文の数値を用いて計算を行い、2000年から2019年の間に気温上昇に起因する死亡者数は発表された数字より16万6千人減少したと推計しました。
ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された「気候変動は想像以上に多くの命を救う」という論説や、ニューヨーク・ポスト等に掲載された彼の寄稿記事の一部は、Facebook上で「気候フィードバック」という名の気候変動ファクトチェックサイトによって警告フラグが立てられました。

英国の新聞ザ・サン(The Sun)は論説を取り下げ、その代わりに「気候変動は気温要因による死亡率に影響するだけでなく、他にも直接的および間接的な影響をもたらす」というランセット論文の共著者による声明を掲載しました。

コペンハーゲンコンセンサスセンター所長 ビョルン・ロンボルグ氏
「この連中は基本的に『それは間違いだ』と言っている。だからこそ、Facebookに検閲させようとしている。そして、ラベルを貼って『これは不正確だ、これは誤情報だ』と言うだけで、こうした情報の多くを実際うまく排除している。もちろん連中の本音は『気に入らない』ということだ」

NTDのコメント要請に対し、Facebookと気候フィードバックサイトからの返事はありませんでした。

ソーシャルメディアで目にするものをファクトチェッカーが支配する世界では、COP26(26回目の締約国会議)気候サミットが目前に迫る中、科学的な議論がどれほどオープンに行われるのかという疑問が生じます。

〈字幕版〉

 
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