劉亜洲元中共国防大学政委が拘束?中共内部の権力闘争が激化か

中共国防大学の元政治委員で、中共老幹部の李先念の娘婿でもある劉亜洲氏が拘束されたとの話が伝わっていますが、当局からの発表はありません。あるアナリストは、この件は中共の第二十回全国代表大会を控えて内部闘争がさらに激化していることを示すものだと指摘しています。

中共軍の最高位の上将である劉亜洲氏が拘束されたとの情報は12月21日、米国在住の作家である畢汝諧(ひつ・じょかい)氏が最初に伝えました。劉亜洲氏とその弟の劉亜偉氏の二人がそれぞれ北京と広州で同時に拘束されたと伝えました。

しかしその数時間後、畢汝諧氏は雑誌『北京の春』で、「劉亞偉は米国にいる」と発表しました。

劉亜洲氏の置かれた状況をめぐり、世論はにわかに騒然としました。

大紀元時報は24日、劉亜洲氏の親友から、劉亜洲氏は拘束されたが理由は現時点ではわからないとの回答を得ました。

しかし、当局はいまだに劉亜洲氏に関する一切の情報を発表していません。

69歳の劉亜洲氏は中共空軍の上将で、中国共産党第18期中共中央委員、国防大学政治委員を務めていました。劉亜洲ファミリーにはしっかりした軍事的背景があり、その父親の劉建徳氏は蘭州軍区の元後勤部副政治委員で、2番目の弟の劉亜蘇氏は少将で、中共人民解放軍総参謀部に所属していました。また4番目の弟の劉亞武氏は空軍大佐で、空軍第五師政治委員を務めていました。3番目の弟の劉亜偉氏は早くに海外留学し、現在は中国問題研究者として米国に住んでいます。

そのほか、劉亜洲氏は李先念中共元国家主席の娘婿でもあり、「外戚」として中共の「太子党」にも数えられています。

そして劉亜洲氏は、軍関係の作家という重要な職責も担っており、若いころから軍を題材にしたルポタージュで脚光を浴びていました。執筆した『攻撃 攻撃 再攻撃』などの著書は、閉ざされた時代の知識分子が外の世界を理解するのに役立ったほか、彼自身も中国の「最も優れた思想を持った比類なき将師の星」と称されていました。

劉亜洲氏は2020年にフェニックス・ウィークリー(鳳凰週刊)の取材を受けた際に米国の民主制度を賞賛し、「制度が市民の自由な呼吸を妨げ、人民の代表となった人をリーダーの地位につけることができないならば、滅亡は免れない」と指摘し、中国は10年以内に民主制度へと転換するだろうとの見方も示していました。

このような発言が劉亜洲氏にとって禍の元になったのでしょうか。ある紅二代は匿名を条件に、習近平総書記はもともと劉亜洲氏を国防部長に任命しようと考えていたが、彼の一部の発言に不満を抱いていたと明かしました。

匿名を条件に取材に応じた紅二代
「彼(劉亜洲)の思想は突出していて、普通の人なら言えないようなことを彼は口にしていた。彼の言っている普遍的な価値観や民主主義への転換、中国社会が現在直面している問題などは、どれも比較的客観的なものだった。(だが)ちょっとリスキーだったと私は感じている」

多くの研究者が、劉亜洲氏が拘束されたとの情報が伝わった際に、第20回全国代表大会を控えて、中共で内部闘争が熾烈化しているのだと指摘しています。

中国問題専門家 横河氏
「現在(中共の)全指導者層の中で、二つの路線の闘争が確実に存在している。一つは改革開放路線をこのまま継続するのかどうか。もう一つは、現在の習近平のように、一部を毛沢東時代に戻す(という路線)だ。この二つの路線の間で実際のところ、熾烈な闘争が行われている。そして(習近平に反対している)一部の人の中でも、比較的しっかりした考えを持っているのが劉亜洲だ。もし劉亜洲がなんらかのことに介入したとしたら、一定の理論を持ち出すだろうし、一定の実行方法もあるだろう。しかも彼の人脈も彼を在野の中核とするのに十分だ。習近平にとってそれは大きな脅威になる可能性がある」

習近平体制の発足後、劉亜洲氏は習総書記が軍に対して行った反腐敗活動を公に支持し、江沢民派に掌握されている軍部を「総合スーパーになってしまった」「能力が劣っているので役に立たない」と暗に批判していました。

しかし、劉亜洲氏は習近平総書記による軍隊改革の後期は、放棄されたようです。2017年7月、まだ65歳に達していないにもかかわらず、劉亜洲氏は国防大学政委からのリタイヤを繰り上げました。

 
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