専門家が指摘する習近平総書記年頭挨拶の不可解な点

中共の習近平総書記が1月2日に発表した新年の挨拶について、専門家が興味深い考察を行っています。台湾大学政治学部の名誉教授である明居正氏は、習氏は相変わらず「統一は両岸の共通の願い」と強調しているが、1475字からなるこの挨拶に「台湾」の名前も「米国」の名前もなく、2021年の鄭州大洪水の話すらなかったと指摘しています。さらに特筆すべき点として、習氏の今回の演説では、経済目標や今後の展望すら省略されていたことを挙げ、中共が直面している課題がさらに大きくなることが見て取れると分析しています。

台湾大学政治学部名誉教授 明居正氏
「習近平は中国の経済動向が好調であると言っていない。理屈の上では彼は、このような困難な状況にありながらも我々の経済状況は好転していると言うべきなのに、彼はそんなことは言っていない。この点は非常に重要だ。彼は、経済動向が芳しくないのでこの話は持ち出してはいけないと分かっているのだ。

感染状況については軽く触れ、『我々は防疫に成功し、我々のワクチン外交は国際社会から賞賛された』と述べただけだった。だがもし本当にそんなに素晴らしい成果を上げたのだったら、普通はデータを持ち出すだろう。例えば、鄭州の京広トンネルの水害では、車数百台が閉じ込められたが『死亡者は6人にとどまった』といった話だ。当然触れるべき話だが、何も触れていない。だから私は、彼の話は虚構の話だと言っているのだ。中身のない話には具体的な話も出てこない。

よく見てみると、展望を語っていないのだ。彼が語った唯一の展望は、冬季オリンピックとパラリンピックの成功を祈っているという話だった。

『展望』と言うと、通常は政治や経済、社会や国際社会の各方面について触れるのだが、こうした話をしていない。だから、今回の講話は少しおかしい。

共産党設立100周年は100年目にあたるというだけで、特にすごいことではない。100年続いたというただそれだけの話だ。

両岸関係についてはたった一言『完全統一の実現は両岸の同胞の共通の願いだ』と話しただけだ。これは以前の話とは歴然とした違いがある。以前はいつも温かみのある言葉で呼びかけていた。以前の話の内容はいつもお決まりのパターンだったが、少なくともすべてにおいて行き届いた話をしていた。だが今回は用意周到な話ではなかった。これが不可解な点だ。もしかしたら再任に関して何か問題があるのかもしれない。そうでなければ大きな困難に直面しているのかもしれない。今回の講話には中身がなかった」

 
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