デジタル人民元を世界に売り込むのは無意味=専門家

中国は、冬季オリンピックで来場者や選手が使用できるように、中央銀行のデジタル通貨を展開しました。中共政権にとっては、デジタル人民元を世界にアピールする良い機会です。しかし、どれだけの支持を得られるのでしょうか。ビジネスと経済の専門家に話を伺いました。

中国の中央銀行のデジタル通貨は、「デジタル人民元」もしくは「人民元」と呼ばれています。基本的には現金ですが、デジタル形式になっており、中国の中央銀行が発行しています。そして、銀行はこの通貨で行われるすべての取引を、監視することができます。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「中共当局にとって、デジタル通貨は個人の金融をコントロールする極めて優れた手段になる可能性がある」

中共政権はオリンピックで、デジタル通貨を具体的にどのように普及させるつもりなのでしょうか。選手たちには、デジタル通貨が入ったギフトカードが配られるかもしれません。そして、彼らはそれを自由に使うことができます。しかし、その選手たちは問題に出くわすかもしれません。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「選手たちはどこでお金を使えるのか?それが一番不思議なことだ。彼らはお小遣いを渡されても、遊んだり使ったりする場所がないのだ」

お金を使う場所は、ほとんどありません。それは、中共当局が選手全員を 「クローズドループ」または「オリンピックバブル」の中に閉じ込めているからです。ここが競技の舞台となる場所です。

しかし、隔離施設とあまり違いはありません。選手たちはそこから出ることが許されていません。そして、外部の人がそこへ入ることも許されていません。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「おそらく、ヒトラーのオリンピックよりもかなり制限の多い大会であることが分かるだろう。オリンピック史上、最も制限の多いオリンピックなのだ」

つまり、選手たちは北京の街を歩き回り、デジタル人民元を使って買い物をすることができないということです。謝田教授は、中共がオリンピックを売名行為に利用しているだけの可能性もあるが、他国へのデジタル人民元の普及は無駄なことだといいます。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「人民元は、他の通貨と自由に両替できるものではない。デジタル人民元は中国以外では使い物にならない。中国のデジタル通貨の国際化は本当に必要ないものだ。ここでは無意味な宣伝でしかない」

中国のデジタル人民元をめぐる最大の話題の1つが、最終的に米ドルに代わって世界の基軸通貨になり得るかどうかということです。謝田教授は、当面はそうなることはないと見ています。

〈字幕版〉

 
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