上海の物流が大混乱 「一番足りないものは食べ物」

中国のEC(電子商取引)大手、京東集団(JDドットコム)の物流部門である京東物流(JDロジスティクス)が上海に入る高速道路で足止めされ、注目を集めています。ある市民は、特権階級が国難に乗じて大儲けしており、さらには高速道路の封鎖と物流の停滞によって、庶民は食品を普通の値段では購入できなくなっていると明かしています。

上海で都市封鎖が始まって以降、物資の不足に不満を訴える市民の抗議活動が多発しています。近日、京東物流(JDロジスティクス)が上海に物資を輸送するにあたり、3000人以上の配達員を14チームに分けて、順次発送サービスを開始しました。上海に到着したチームはその場で隔離されるため、毎日の物流ニーズを満たすために各チームを14日周期で循環させていましたが、トラックの一群が高速道路で動けなくなったため、配達日が何度も延期になっています。

上海に入る高速道路を撮影した写真には、「コンテナトラックが長蛇の列をなしている。通行証を彼らに発行しないからだ」とのコメントが付けられています。

上海の物流業者の陳さんは、「上海までの輸送費が以前の何倍にも跳ね上がった。理由は、現在上海に入るのが難しいからだ。コネがなければ通行証を出してもらえない」と明かしています。

上海の物流業者 陳さん
「通行証がなければそもそも上海に入って来られない。来れたとしても帰れないので敢えて来ようとはしない。通行証は何種類にも分かれており、生活保障と感染症対策に関係するものしかだめだ。少なくとも3つか4つの機関で手続きできる。どのみち難しい話だ」

上海の物流業者の湯(とう)さんは、「高速道路がふさがって物流が止まっている。各種の証明を発行してもらわなければ動けない。だから上海の物資が極端に不足している」と話しています。

上海の物流業者 湯さん
「上海では食べ物が不足している。一番足りないものは食べ物だ。そのほかのものは一時中断している。車が来るには通行証、物資供給証明が必要だ。しかし、入って来ても14日間隔離されるので、運転手は来る気にならない。上海の状況は深刻だ。上海がひとたび「ねそべり」状態になったら、全国各地もそれに伴って損害を受ける」

あるネットユーザーは、「上海市政府は本当に、外国資本のために働く商人による「政府と企業の癒着」を極限まで展開した。上海政府はさらに通行証によって物流を阻害し、高価な共同購入用のトラックしか通行させない。この都市の政府は骨の髄まで腐っている」と怒りのコメントを残しています。

上海市民 朱さん
「彼らはすべてを共同購入にしている。指導者層はそれらを差し押さえて自分の親戚に共同購入をやらせる。すべて金のためだ。指導者層幹部は出世と蓄財が目的で、彼らは庶民の生き死にはどうでもいいと思っている」

上海市民 倪さん
「ウィーチャットで、餓死した人の話を見た。それから役人が物資を差し押さえて転売し、国難に乗じて大儲けをしているのも見た。彼らはあぶく銭を手に入れるだけでなく、高速道路まで封鎖している。彼らが封鎖しているのは庶民だ。彼らはスムーズに通過できるのだ。それもまた特権の一つだ」

 
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