中共の軍事力は米国を凌駕するのか(上)

中国の軍事力はアジアで米国を凌ぐ勢いなのでしょうか?中共政権の急速な軍拡は、近隣諸国に緊張をもたらしています。NATO首脳会議に、初めてインド太平洋地域の国々が参加することになりました。しかし、ウクライナで戦争が勃発し、米政府は中国とロシアに同時に対処するための十分なエネルギーを持っているのでしょうか?NTDは、国際戦略研究協会のグレッグ・コプリー会長に話を伺いました。

「史上最大の軍備増強だ」。中国の軍拡について、米インド太平洋軍司令部のトップはそう話します。

中国共産党は、すでに世界最大の海軍とアジア最大の空軍を持っているにもかかわらず、軍拡に躍起になっています。

核兵器を増強する一方で、中共政権は南シナ海の島々を軍事化し、その支配を拡大し続けています。東側では、記録的な数の戦闘機を台湾の近くに送り込んでいます。

6月12日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で、中共の国防部長は、もし誰かが台湾を中国から分裂させようとするなら、代価を惜しまず徹底的に戦うと述べました。

中共国防部 魏鳳和部長
「もし、何者かが台湾を分裂させようとするならば、我々は代価を惜しまず徹底的に戦う。必ず最後まで戦う。これは中国の唯一の選択だ」

南側では、中共はカンボジアの軍事基地整備を支援しており、これは中共政権に台湾への足がかりを与えることになる可能性があります。

さらに南下すると、中共はソロモン諸島と協定を結んでいます。この協定によって、西側の大国は緊張を強いられています。中共政権の軍事拠点がさらに拡大することを許してしまうのを恐れているからです。

習近平総書記は、2027年までに自国の軍事力を米国と同等にしたいと考えています。そして、もし米政府がいずれ行動を起こさなければ、中共がインド太平洋地域の支配権を奪う可能性があると心配する声もあります。

この問題について、国際戦略研究協会(ISSA)の会長、グレッグ・コプリー氏に見解を伺いました。

国際戦略研究協会会長 グレッグ・コプリー氏
「米国がインド太平洋地域や新しい防衛技術に必要なだけの投資をしてこなかったのは事実だ。全般的に、過去数十年の間、トランプ政権下で国防費の若干の増加が見られたが、今はそれが横ばいになり、インフレがもたらす本当に危険でネガティブな影響を目の当たりにしている」

ホワイトハウスは2023年の国防予算として、過去最大の8000億ドル(約108兆円)超を議会に要請しています。しかし、インフレを考慮すると、前年度比で1.5%の増加に過ぎません。

米国防総省は、米軍の能力を維持するには、最低でも3〜5%の増額が必要だと主張しています。そして議会では、ロシアの侵攻や中国の軍事的近代化を考慮し、5〜7%の増額を要求する声が多くあります。

米国は国防予算の面で遅れを取っていますが、コプリー氏は中国の軍事力には問題があると指摘しています。

〈字幕版〉

 
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