スリランカの債務危機 中国はどのように関わっているのか

スリランカの地政学的な価値は、多くのチャンスをもたらしただけでなく、中国(共)にも注目されました。中国(共)はインド太平洋地域での支配を拡大するために、スリランカを「一帯一路」構想に吸収しました。そのため、中共はスリランカにとって最大の貸し手となっています。スリランカがなぜこのような状況に陥ったのか、そして、スリランカはどのようにして債務の山から抜け出そうとしているのでしょうか。

スリランカは、インド太平洋地域の奥まった所にある、重要な分岐点に位置しています。

まず、その交通の便を見てみましょう。

スリランカのハンバントタ港は、世界で最も交通量の多い海上輸送ルートの一つである石油輸送路から10マイル(約16キロ)以内のところにあります。

この航路は、世界で最も重要な石油輸送の海上水路であるホルムズ海峡とマラッカ海峡を結んでいます。

さらに、水深の深い港であるため、大型の軍艦が停泊できる理想的な港でもあります。

その地勢的な価値が、中共の目に留まりました。

中共は、この港への関心を隠しませんでした。スリランカの元政府関係者がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、中共当局は「港に誰が来て、停泊するのか」をスリランカが知らせてくれることを期待していたとのことです。

スリランカは、中国の主要なライバル国であるインドの海岸からわずか数百マイルという絶好の位置にあります。

中共は2014年にスリランカを「一帯一路」構想に組み入れました。この構想は、「債務の罠外交」と批判され、物議を醸しています。

この構想の下、中共は発展途上国のインフラ整備を目的に、数十億ドルの融資を行います。

しかし、返済が滞ると、中共はその国の戦略的資産、例えば軍事的に有用な港湾を支配下に置きます。

スリランカの場合、中共はハンバントタ港の建設のために数十億ドルをスリランカに融資しました。しかし、スリランカはその後、99年契約で港の管理権を中共に譲渡することを余儀なくされました。中共に借金を返済できなかったからです。

そして、スリランカは現在債務危機に直面しています。しかし、救いの手を差し伸べている国もあります。

米国政府は、スリランカの中小企業に対して1億2千万ドル(約166億円)の助成金を出すことを発表しました。

G7の国々もスリランカの債務救済を支援する方針を表明しました。隣国のインドは、米国よりも多額の資金援助を申し出ており、40億ドル(約5,500億円)を超える融資を約束しました。また、燃料のための5億ドル(約700億円)の融資限度額など、さらなる支援の可能性も検討しているようです。

国際問題専門家のコメントが、インドの寛大さを表現しているかもしれません。

専門家は、「インドはスリランカに対する中共の支配力を弱体化させたいと考えている」と述べています。

〈字幕版〉

 
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