「米企業の命奪う」 中共スパイ戦を米メディア暴露

米ニュースメディアのCNBCが最近公開したドキュメンタリーで、中国共産党(中共)のスパイが大規模に外国企業から技術や企業秘密を盗み出していることを明らかにしました。その目的は、米国と中国企業との格差を縮めるだけでなく、米国企業を排除して国内企業に置き換えることだとしています。

21日、CNBCはドキュメンタリー番組「中国の企業スパイ戦争」を公開し、中共のスパイの深い目的を明らかにしました。

長年、多くの米国企業は、中共の情報窃取は、単に米国の先進技術に追いつくためだと考えていました。しかし、米政府関係者によれば、現実は一般的に理解されているよりもさらに邪悪なものだといいます。多くの場合、中共の真の目的は、彼らがターゲットにした米企業を排除することであり、情報窃取はそのための手段に過ぎないということです。

FBIのクリストファー・レイ長官はCNBCに対し、中共の「競争」というものに対する定義には、「消滅」という概念が含まれていると語っています。

フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員は、米国企業は中共と取引することで、自身のハイテク企業の秘密をリスクにさらしているとし、「慢性的に自殺」に向かっていると警告しました。その上で、常に自分たちは代替や撤退の対象であることを念頭に置いておくべきだと話しています。

台湾国防安全研究院の王綉雯研究員は、これは米政府が米国企業の中共に対する「敵味方の意識」を育もうとしていることを示しているといいます。

台湾国防安全研究院の助理研究員・王綉雯氏
「マイクロソフトやインヴェンテック、あるいはイーロン・マスク氏の会社のような、中国が今まさにターゲットにしている企業は、あたかも中国がこれらの外国企業と非常に友好的であるかのような関係を築かないようにすべきです。つまり、米国の議員たちは、彼らと接点をもつ際には、彼らの最終的な目的が何であるかを忘れてはいけません。別の例を挙げましょう。中国版GPS『北斗衛星測位システム』をめぐっては、人類の運命共同体の実現を提案しています。中国からすれば、彼らが主役であり、米国と平和的に共存することを望んではいません」

元中共国家安全部副部長の徐延軍がゼネラル・エレクトリック社の航空エンジニアを誘い込み、ジェットエンジンの技術を盗んだ事件は、しばらく世間を騒がせました。ドキュメンタリーでは、この事件も取り上げ、徐延軍は昨年、懲役20年の判決を言い渡されました。

また、1月にはゼネラル・エレクトリック社で働いていた中国系タービン技術エンジニアの鄭小清も同社から数百万ドル相当の機密文書を盗んだとして懲役2年の判決を下されました。中共のスパイは航空分野だけでなく、他にも多くの分野を標的にしていました。マイク・ウォーナー上院議員は取材で、自身の対中政策における間違いを認めました。当時、ウォーナー氏は他の多くの人々と同様、中共を世界貿易機関(WTO)に加盟させることで事態は良くなると考えていましたが、実際にはそう上手くはいきませんでした。

王綉雯氏
「米国のシンクタンクなどを見ていると、いまだに中共に対して友好的です。つまりこれは米国企業に対する警告だと思います。もし中共がいつか技術や能力を手にしたら、米国企業の市場はなくなってしまうと警告しているのです」

シドニー工科大学の馮崇義准教授は、多くの民主主義国家がそうであるように、米国もここ40年近く中共を競争相手ではなく、パートナーとして接してきたと語っています。中共との取引はほとんど無条件で、ビジネス的な利益だけを追い求めてきました。しかしその後、数十年にわたる付き合いを経て、中共が莫大な富を蓄え、内部抑圧と対外的な拡張や浸透に転じたことを知ったのです。中共に対するこの宥和政策は2017年頃まで続きました。

シドニー工科大学准教授・馮崇義氏
「米国はその後、中共について競争相手またはライバルであるという新たな判断を下しました。つまり、中共と自由世界は冷戦状態にあるという認識をもち、冷戦とあれど、対応するべきだとしました。どちらかが降伏または宥和すれば、自分がさらに不利益を被るだけです。だからこそ中共は、技術を盗み、通常のルールに従って競争している企業を打ち負かすために、このような不適切な手段を用いているのです。ファーウェイのように、どこへ行っても、自分の蜜を横取りする可能性のある邪魔な同業他社を潰そうとするのです」

中国大使館はCNBCに対し、北京は「いかなる形であれ、誰かの商業機密の窃盗に加担したり、それを支援したりしたことはない」とする声明を発表しました。

しかし、この声明は、誰も納得しないでしょう。

米政府は今や中共の本質を見抜いていますが、両者はまだ多くの点で完全に縁を切ることができていません。しかし、結局のところ両者の関係は、本質的にはかつての米国とソ連のように、生きるか死ぬかの対立関係になるでしょう。

馮氏は、現在の米中冷戦は、取り巻く環境がかつての米ソ冷戦とは異なり、双方の経済協力も多くあるため、「協力する部分は協力し、競争するところは競争して、対立すべき時は対立する」と話しました。

 
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