蔡英文総統の任期最後の双十節で演説 国際社会が台湾支持

10月10日は中華民国(台湾)の建国記念日と位置づける「双十節」で、盛大な祝賀イベントが行われました。一方、時を同じくして、イスラエルとハマスが戦争状態にあり、中国共産党(中共)が混乱に乗じて台湾海峡を脅かすのではないかという懸念が高まっています。これに対し、米国防当局トップは、米国はいかなる緊急事態にも対応できると確信していると述べています。

双十節の祝賀イベントでは、台湾総統府の前で式典が行われ、160人以上の各国要人が参加しました。米国や日本、カナダのほか、友好国の元首や野党党首などが列席しました。

蔡英文総統は任期中最後の建国記念演説で、「自信を持って冷静に、国家を前進させる」というテーマでスピーチを行いました。

台湾・蔡英文総統
「皆さんの団結のおかげで、私たちは世界に民主台湾を伝えることができました。台湾の人々は威厳があり、独立心が強く、温かく、親切であることを私たちは自信を持って世界に示していきます。台湾の人々は世界の一部としてあることに喜びを感じ、これからも代々にわたり民主的で自由であり続けます」

中華民国(台湾)の建国記念日を機に、対岸の中共に対して、主権は決して譲らないという立場を改めて表明しました。

蔡英文総統
「我々は、台湾の民意のコンセンサスをもとに、対等な尊厳を前提とします。また民主的な対話をプロセスとし、現状維持を核心に置き、北京当局との間で双方が受け入れ可能な交流の基礎と平和共存の道を発展させたいと願っています」

蔡氏はさらに、選挙の後には、すべての政党が対外政策において団結するよう呼びかけました。

蔡英文総統
「選挙の後には、すべての人が争いの心を捨て、まずは台湾内部でより大きなコンセンサスと意志統一を図れることを切に願っています」

蔡氏はまた、中共に対して、平和が両者にとって唯一の選択肢であることを訴えました。さらに、過去7年間の政治的成果や台湾経済の目覚ましい業績についても詳述しました。

蔡英文総統
「台湾頑張れ!中華民国(台湾)頑張れ!」

ロサンゼルスの台北経済文化代表処が主催した祝賀セレモニーでは、1千人近くの政界関係者や華僑が参加し、民主主義と自由の擁護への支持を表明し、中華民国(台湾)の112回目の記念日を祝いました。

ロサンゼルスの台北経済文化代表処代表・紀欽耀氏
「ご存知の通り、現在、台湾と米国の二国間関係は過去最高の状態にあります。米国の華僑たちが、政府と協力して台湾のために声を上げ、米国社会に台湾の重要性を伝えてくれることを願っています」

米国議会の議員たちは、党派を問わず、強固な台米関係と台湾への確固たる支持を強調しました。

米国下院議員・ヤン・キム氏
「(4月の)台湾訪問の前に、私たちは日本に立ち寄り、韓国にも立ち寄りました。仲間たちは台湾のために力を提供することを約束してくれました。台湾には蔡英文総統というタフな総統がいます。蔡英文総統は繰り返し私たちに、台湾には自衛の意志と決意があると語ってくれました」

米国下院議員・趙美心氏
「国会の台湾への支持は、非常に強力です」

ロサンゼルス郡査定官・ジェフリー・プラング氏
「台湾の自治、自由と独立への支持を強化し続けることは、米国のすべての人々にとって重要です」

また、多くの華僑の指導者たちも、台湾が苦労して獲得した民主主義と自由を守ることを願い、中華民国(台湾)に心からのエールを送りました。

しかし、台湾の双十節期間にイスラエルとパレスチナの戦争が起こったように、人々は台湾の人々も警戒を強めなければならないと考えています。

台湾民衆
「どこでも戦争はあります。ただ、台湾がそうならないことを願っています」

台湾民衆
「私たちは平穏な日々を過ごしていますが、今後起こりうる不測の事態に対処するため、ある程度の警戒は必要です」

イスラエルとパレスチナの戦争で、国際世論は、イスラエルの情報システムが早期警告の役割を果たせなかったと指摘しています。台湾が中共の軍事的脅威にさらされている今、台湾軍は現地の戦況に非常に注目しています。

台湾国防部長・邱国正氏
「情報工作は非常に重要です。情報があってこそ、多くのことが予想できます。その予想には戦争を防げるかどうかも含まれます」

邱国正国防部長は立法院での報告で、中共の台湾に対する様々な軍事活動について指摘しました。

台湾国防部長・邱国正氏
「台湾に仕掛けてくる中共軍機の数も、今年は1か月当たり約380機に増加しています。 台湾海峡の緊張が高まっているため、わが国の軍はさまざまな情報監視・探知手段を積極的に活用し、中共軍の部隊の動きを監視・統制し、適切に対処しています」

今年4月に中共軍は、台湾に560回も軍用機を飛ばし、地域の安全を脅かしたといいます。

これに対し、米国防総省インド太平洋安全保障担当筆頭国防次官補代理のジェディダイア・ロイヤル氏は11日、米国はいかなる有事にも対応できると確信していると語りました。また、「中共の指導者・習近平が毎日目を覚ました時に、中共による台湾侵攻のリスクについて考え、今日は台湾を侵攻する日ではないと考えるようにすることが重要だ」と強調しました。

 
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