中共が「紙幣印刷」強化 地方財政救済で国債1兆元

銀行が横領 「預金」を「購入」に書き換えか

近年、中国経済が下降の一途をたどり、国民は徐々にお金を使う勇気がなくなっています。最近では、銀行に預けたお金がさまざまな理由で引き出せなくなる事態が多発しています。

四川省の省都・成都市に住むあるネットユーザーは、今月23日、中国農業銀行に預金に行ったところ、顧客サービス・マネージャーの名札をつけた職員が、顧客の預金をそっと「購入」に書き換えたことを目撃したといいます。

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「銀行の人は『購入』は『預金』のことだと言いました。この2つの言葉の意味が知りたいです。購入が預金のことを言うのなら、私が何を購入したと言うのですか。私たちからお金を騙し取ったんですよ!」

近年、中国共産党(中共)の銀行が相次いで資金難に陥っているのはなぜでしょうか。相次ぐ地銀の倒産の背景には、中共政府の資金不足が如実に表れています。

8月31日に発表された中国A株上場銀行の中間報告によると、近年、中国の銀行の純利息マージンが下がり続けています。今年7月には「コマーシャルペーパー」と呼ばれる短期の約束手形の不履行が中国の銀行で急増しました。7月31日までで、計2851件の契約不履行が発生し、1月の1554件から約8割増加しました。このうち、中共の国有銀行の支店や都市銀行、農業銀行の地方支店が271件ありました。一か月間のデフォルト件数は6月の33件から239件増加しています。

また、中国国民の銀行預金に対する信頼もかつてないほど低下しています。深セン市に住むある市民は、大紀元の取材に対し、いまは預金をさまざまな銀行に分散しており、各銀行の預金は50万元(約1千万円)以下にし、残りは金塊を買ったり、自分で保管したりしていると話しました。さらに、中共当局に対する信用は崩壊しているとしています。

一部の政治関係者や経済学者は、中国に金融危機が迫っていると警告しています。人々は自分の手で自分を守るしかないと話しています。

中共が「紙幣印刷」強化 地方財政救済で国債1兆元

中共の地方政府は現在、多額の負債を抱えています。中共は24日、地方の財政危機を緩和するために、今年第4四半期に、1兆元(約20兆円)の国債を追加発行することを公にしました。

中共の関連メディアは24日、第14期全国人民代表大会常務委員会において、国務院の国債追加発行決議と2023年の中央予算調整法案が承認されたと報じました。政府が追加発行する1兆元の国債は特別国債として管理され、すべて移転支出というかたちで地方に手配される予定だといいます。中共の財政赤字も3兆8800億元(約79兆7千億円)から4兆8800億元(約100兆円)に増加し、中共公式メディアの新華社通信は赤字率を3%から3.8%に引き上げるとしています。

しかし、このような「新たに借金して古い借金を返す」やり方は、中共の経済成長が十分でないために、役に立たないと人々は考えています。

ある面においては、中共が長年掲げてきた「インフラの着実な成長」というやり方は、過剰生産能力のために持続不可能となり、中共が誇る高速鉄道だけでも赤字を出しています。今年上半期、中国国家鉄路集団は110億8600万元(約2277億円)の純損失を計上しました。今年6月までで、負債総額は6兆1000億元(約125兆円)で、資産負債率は66.17%だということです。

もう一方の面においては、中共が外資系企業を叩き、国際社会を敵に回し、一方で内部統制を強化し、政治や経済の環境を悪化させています。このような状況下で、外資は逃げ出し、中国人はお金を使うことを恐れ、結果的に輸出の減少、内需不足、工業・不動産セクターの崩壊を招き、債務返済、住宅販売や投資の減少に直面しています。

2008年の世界金融危機の時、中共は市場救済のために4兆元(約82兆円)を投資しましたが、これも現在の高水準の負債につながっています。現在の中共の財政状況はかつてのようなものではなく、地方財政危機を緩和するために1兆元(約20兆円)しか投資できません。ただ、これに対し中共の体制は変わらず、いくら投資しても「焼け石に水」という見方が強く、かえって外部からは中共政府の地方債務に対するリスク調整能力を疑問視する声が上がっています。また、地方政府の負債比率は、隠れた債務負担と相まって、全体的に財政・金融のシステミック・リスクを引き起こしているのが実情です。

 
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