キャッシュレス決済の普及、事業者協調による市場拡大も重要=池田日銀理事

[東京 30日 ロイター] – 日銀の池田唯一理事は30日、本店で開かれているフィンテック・フォーラムであいさつし、日本のキャッシュレス決済の普及には利用者の抵抗感の除去や、事業者の協調による市場拡大に向けた取り組みなどが重要になるとの見解を示した。

池田理事は、情報技術の発展やスマートフォンの普及などに伴って拡大しているキャッシュレス決済について「金融・決済において最も注目を集める分野の1つ」とし、「便利で安全な決済サービスの普及や新しい金融サービスの登場が、日本経済の成長に貢献しうる」と語った。

一方で、新たな決済サービスは「特別のリスクを内包していることもあり得る」とし、「個人情報保護や不正利用などに関し、セキュリティーの面で適切な対応が採られていることが重要になる」との認識を示した。

そのうえで、日本におけるキャッシュレス決済の普及に向けた課題について、決済のネットワーク外部性や、加盟店における導入インセンティブに加え、「ユーザー側にある心理的なものも含めた抵抗をいかに取り払うか」と指摘。

同時に、様々な決済サービスが登場して市場獲得に向けた競争が行われている中で、「各サービスの市場規模が結果として小さいものにとどまると、決済のネットワーク外部性が働きにくい」と述べ、「競争的な環境を維持しながら、適切に協調して市場拡大を促進する取り組み」の重要性も指摘した。

(伊藤純夫)

 
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