中共が個人預金の預け払いに用途とソースの開示を要求

デジタル人民元移行準備か

中共は銀行での預け払いに関する規制をさらに強化し、3月1日から個人が5万元(約90万円)を超える人民元の預け払いを行う場合、そのソースや用途を申告する必要があると発表しました。これについて専門家は、今回の措置は中共がデジタル人民元を推進するための布石ではないかと指摘しています。

1月末、中国人民銀行(中央銀行)、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会の三部門が合同で管理規則を公布し、商業銀行、農村合作銀行、農村信用合作社、村鎮銀行などの金融機関に対し、顧客が1回に5万元を超える人民元の預け払いを行う場合、あるいは1万ドル相当(約110万円)を上回る外貨の現金の預け払いを行う場合は、顧客の身元を照合し、そのソースまたは用途を申告させるよう要求しました。

河南省の経済専門家 姚さん
「その目的はやはり監視を強化するためだ。あなたのお金のように見えても、銀行預金はやはり、あなたのお金とは限らないのだ。今は、新たに規則を追加しようとしている。あなたが銀行に預けているお金を引き出そうと思ったら『それは何に使うのか?用途を教えなさい』とね」

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、今回の措置はデジタル人民元を普及させるための布石だと指摘しています。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「彼らは、中国の国民一人一人がそれぞれどの銀行に、あるいはどの金融機関にどれだけの資産を持っているのか、どれだけの預金があるのか、現金はどれくらい持っているのかを知りたいのだ。それは彼らが最終的に、人民に強制的に人民元を放棄させ、デジタル人民元に全面移行させるための、一種の布石なのだ」

謝田教授は、今回の中共の措置には、全国の国民を調査する目的もあるはずだと考えています。以前は一人が複数の名前を使って銀行口座を開設できたので、中共がそれら複数の口座を一人に紐付けしづらかったためです。中共は今、中国人に対する管理をさらに強化して、こうした状況をより深く把握しようとしています。

中共は、今回の法規は資金洗浄を防止するためのものであり、資金洗浄とテロ資金調達に対する抑止力をさらに高めることができると説明しています。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「中共の資金洗浄問題は以前からずっと存在している。実際には、資金洗浄の疑いがもたれているのはすべて、中国共産党の党員、自身の幹部なのだ。彼らしかそんな金は持てないし、資金洗浄を行う必要があるのも彼らしかいないのだから。中国の9億人の人々は月収3000元(約54,000円)も稼げないのだ。資金洗浄するお金があるわけがない」

当局のいう「テロ資金」について、謝田教授は、中共が誹謗中傷的な言葉を選んだのだと考えています。これは、中共が迫害している反体制派や団体に対し、より厳格な対応をするときの手段の一つです。

 
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