李進進弁護士刺殺事件 中共領事館関係者が容疑者に接触

3月14日、天安門事件の学生リーダーで、のちにニューヨークに移住した李進進弁護士が刺殺されました。容疑者の張暁寧は3月15日、ニューヨークのクイーンズ区地方刑事裁判所に移送されましたが、警察署から出るとき、張容疑者は自身が共産党側についたことを思わせる言葉を叫びました。これより前に張容疑者と接触したある人物は、ニューヨークの中共領事館の人が張容疑者と接触しているのを見たことがあると明かしています。

3月14日、民主活動家で、ニューヨークで弁護士を務める李進進さんがフラッシングに位置する法律事務所の中で殺害されました。25歳の中国系住民、張暁寧容疑者によって胸部と頸部を刃物で刺されました。張容疑者はその場で取り押さえられ、連行されました。

ロサンゼルス在住民主活動家 鄭存柱氏
「李進進弁護士との付き合いや他の人からの口コミからわかるように、彼はプロフェッショナルな移民弁護士で、人柄もとても良い。彼に助けられた人はたくさんいる」

情報によると、張容疑者は別の事務所に自身の身分に関する手続きの依頼をしたもののうまくいかず、李進進弁護士に助けを求め、この事務所を告訴するよう求めたといいます。しかし、自身の業務範囲内のことではないとして李進進弁護士が断ったため、犯行に至ったとしています。

民主活動家の鄭存柱(てい・そんちゅう)さんは、事件は単純な民事トラブルではないと考えています。

ロサンゼルス在住民主活動家 鄭存柱氏
「事件当時、この女はみんなの目の前で、素早く凶器を取り出し、最初に頸動脈を狙って切りつけた。訓練を受けたことがあるのではないかと疑う人もいる」

3月16日、張暁寧容疑者は手錠をかけられニューヨーク市警察109分署をあとにする際に、集まった中国系市民らから殺人を犯した理由を訊ねられました。

市民
「後悔していないのか?張暁寧、お前は後悔していないのか」

張暁寧容疑者
「最後に後悔するのはお前たちのような裏切者だ!お前たちは中国人のくせに反共産党だ!お前たちはすでに無数の学生を殺しているのに、まだ学生を殺したいのか」

中国民主人権連盟米国東部代表を務める白節敏(はく・せつびん)さんは、張容疑者は河北省邯鄲市(かんたんし)の出身で、学生時代を北京で過ごした後、卒業後も北京に残って就職したと説明しています。また、張容疑者自身の話によると、彼女は2021年8月下旬に学生ビザで渡米し、その前は中国で何度も陳情したため、中共から迫害を受けていたといいます。

張容疑者は渡米後、人を介して白節敏さんを知り、昨年9月の国連総会や四者会談などの開催中に、「北京警察が私を強姦した」とのスローガンを掲げて抗議活動を行いました。

しかし、2021年11月中旬になると張容疑者は、自分が抗議活動に参加したのは脅迫や脅しを受けていたからだと吹聴し始めました。それからほどなくして張容疑者は白節敏さんに謝罪しています。一連の行動に一貫性がなく、さまざまな矛盾が見られます。

その理由について白節敏さんは、張暁寧容疑者が北京警察の悪事を訴えたことで、中共領事館関係者が彼女に接触し、中国に残っている彼女の家族にも圧力をかけたからだろうと指摘しています。

中国民主人権連盟米国東部代表の白節敏代表
「彼女(張容疑者)はかつて自ら私に『私は中共から圧力をかけられた。とても大きな圧力だ。一つは両親への圧力で、警察はすでに自宅に行った』と言った。さらに米国でも圧力を受けていて、私は彼女の口から、(ニューヨークの)中国領事館が彼女に接触して来たとも聞いている。私は彼女に、中国領事館の誰があなたに接触してきたのだと尋ねたところ、彼女は答えなかった」

民主活動家の界立建(かい・りっけん)さんは、事件の背後に中共が潜んでいると考えています。

ロサンゼルス在住民主活動家 界立建氏
「たとえ何の政治的訴求がなくても、現在の疫病流行の下では、一般人であっても中国から出るのは非常に難しい。陳情者の場合はなおさらだ。中国の多くの地域では、パスポートの発行すらしてくれない。だから、北京の陳情者である彼女があれだけ大騒ぎしても、何の問題もなく出国できたのは怪しいと思う」

界立建さんによると、張容疑者は民主活動家の間でも評判が悪かったと言います。

ロサンゼルス在住民主活動家 界立建氏
「民主活動家らは張曉寧を精一杯助けたが、最終的に彼女は全員を敵に回した。彼女が米国東部の民主活動家グループの中でやったこれらのことは、中共の代わりに破壊活動を行ったのだと感じている」

李進進殺害事件発生後、クイーンズ地区地方検察所のメリンダ・カッツ氏がこの事件を担当し、クイーンズ地区検察官オフィスの通達に基づいて次のように発表しました。「暴力は永遠にいかなる問題に対しても解決策とはならない。一人の死が、社会全体に深刻な損失と悲しみをもたらす。被告はすでに拘留されており、この種の無意味な殺人で非常に深刻な罪に問われている」

張暁寧容疑者は二級殺人罪と四級銃刀法違反の疑いで、3月18日早朝にクイーンズ地区裁判所に出廷することになっていましたが、精神不安定を理由に出廷を拒否しました。

有罪判決が下された場合、張暁寧容疑者には最高25年の実刑判決か終身刑が科される可能性があります。

李進進弁護士は生前、中共の「キツネ狩り作戦」の被害者になっている海外の中国人に法律的援助を提供していました。李弁護士は、中共が海外で展開している「キツネ狩り作戦」は、中共が主張するような反腐敗運動ではなく、反体制派を弾圧するための政治的手段の一つであると公の場で何度も述べていました。李弁護士は、被害者に法律的援助を行う過程で、中共官僚に関する敏感な資料を数多く入手した可能性があるとされています。

李進進弁護士の追悼会は3月27日(日)に行われる予定です。

 
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