北京の街が水没  多くの遺体が散乱

中国北京市は連日、豪雨による洪水に見舞われています。多くの車が流され、中には水没した家屋もあり、人々は立ち往生し、避難するために必死になっています。地元住民の話によると、流された車の多くには人が乗っており、北京の路上には多数の遺体が散乱しているということです。

北京で稀に見る大洪水 3万人が避難

先月29日より、台風5号「トクスリ」が北上しながら、中国北部の5つ以上の省に大雨による被害をもたらしました。30日の晩、北京当局は洪水により北京から3万人以上が避難したと発表しました。さらに31日までに、洪水で少なくとも2人が死亡したとしています。ただし、実際の死傷者数などについては現在不明です。

当局によれば、房山区と門頭溝区の降水量だけでも、2012年7月21日の北京豪雨のときより多いことが確認できるといいます。

連日の豪雨により、北京のあちこちで稀に見る洪水が発生しています。永定河が氾濫し、多くの車が流され、橋が崩れ、家屋が倒壊しました。しかし、中国共産党(中共)当局は災害に関するニュースを制限しています。

7月31日、北京市門頭溝区で鉄砲水が発生し、多数の車が流されました。

目撃者
「見て、こんなに車が流されている。車に人が乗っているのもある」

「人が乗っている!人が乗っている!」

「あっちの橋が崩壊して、こんなに車が流されてきた」

房山区青龍湖鎮の北車營村では、洪水が村に押し寄せ、村民が立ち往生しています。

村の住人
「水が2階まで到達している。大きすぎる洪水だ」

房山区河北鎮は浸水し、多くの家屋が屋根部分しか見えていない状態です。

北京気象台は赤色暴風雨警報を発令し、7月31日から今月1日にかけて市内の一部地域で記録的な豪雨となる可能性があるとしていました。

門頭溝区からは約5000人が避難しており、少なくとも2人が死亡したとされています。しかし、実際の死傷者数は不明です。

現在、門頭溝区のほとんどの地域で通信が遮断されています。

SNSに投稿されたスクリーンショット によると、Weiboでは門頭溝区の洪水に関する話題がブロックされ始めているということです。

SNSでは各地域の災害状況が続々と投稿されているほか、映像なども多く投稿されています。ある青年が流されそうになっているなか、必死に近くにあったバス停にしがみつく様子を映した動画がアップロードされました。激しい濁流の中で、周りの人々は助けに行くこともできず、その光景は見ていて緊張するものです。最終的に青年が助かったかどうかはわかっていません。

北京物流センターが跡形もなし 従業員「生きててよかった」

北京市房山区周口店鎮にある物流センターでは、80人以上が洪水に巻き込まれ、速達小包や高さ2メートルの貨物トラックまでもが流されました。

目撃者
「見てよ、トラックまでも流された。全部なくなった」

「一面水だらけだ」

「壁もなくなった!」

「荷物が大変なことになった」

洪水が止めどなく威力を増し、それにつれてセンター内の荷物はほとんど流されました。従業員は倉庫の屋根に登って避難し、救助を待つほかない状況です。ある従業員は、洪水にすべて流され何も残っていない、生きているだけで幸運だと語りました。

台風接近で数万人の北京市民が避難

一方で、もう一つの大型の台風6号「カヌーン」が中国沿岸に接近しているといいます。

中国気象台の先月31日午後の予報によると、カヌーンは最大風速16級に達し、時速15〜20キロで北西方向に進んでいます。カヌーンは勢力を増し続け超大型となり、2度方向転換し、台湾を迂回して中国東部沿岸に直撃するとされています。また、3日の午後2時に再び方向を変え、中国の東海岸に直行し、浙江省や上海、江蘇省などに暴風と大雨をもたらすと予想されています。

華北でめったにない暴風雨 河北や山東がまるで海に

台風5号「トクスリ」が福建省に上陸した後、台風は北上し、中国北部に赤色暴風雨警報が発令されました。河北省と山東省の多くの都市では「海を見る」という映像が示されています。

7月28日、山東省済南市では大雨に見舞われ、道路は水はけが悪く、多くの車が水に浸かりました。

また30日、お隣の河北省保定市では豪雨に見舞われ、道路は川のようになりました。車や歩行者は膝まで水につかりながら移動し、数え切れないほどの自家用車が浸水しました。

保定市の淶水県では、高速道路の料金所が浸水し、車はタイヤまで水に浸かりました。

また、保定市の各県で被害が広がっていることを示す画像も多数あり、いくつかの村では、避難通知が出されました。

 
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