中共が海外に弾圧機構「領事ボランティア」設立

数日前、人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は調査報告書を発表し、中国共産党(中共)の世界各地の大使館領事館が、統一戦線工作部と協力し、国務院僑務弁公室(OCAO)の関与の下、「領事ボランティア」ネットワークを設立し、海外の組織を操り、異論を唱える人物を弾圧していることを明らかにしました。

11月21日、「セーフガード・ディフェンダーズ」が掲載した「中国領事ボランティア」の報告書は、少なくとも過去10年間、中共の大使館や領事館は、その存在を報告することなく、世界各国に「領事ボランティア」ネットワークを設置してきたと指摘しています。

報告書によると「領事ボランティア」ネットワークは、中共統一戦線工作部から連絡を受けた組織や個人を通じて運営されており、中共国務院僑務弁公室(OCAO)もこのネットワークに関与しているといいます。

領事ボランティアネットワークが行う活動には、領事保護事件の処理と援助、在外国民への危険警告の伝達、パスポートの交換援助などが含まれます。しかし、その過程で、海外組織への妨害や工作、反共産主義者への強要を目的として、さまざまなターゲットの個人情報が入手されています。

中国政法大学の国際法修士号を持つ頼建平氏
「このいわゆる領事ボランティアは、本質的にはシークレットサービス組織です。本来の警察隊とは違い、警察隊は暴力を手段とする一種の海外安定維持組織です。 一方、このいわゆる領事ボランティアネットワークは秘密裏に、外交特権に守られた海外警備組織です」

ジャーナリストの調査によると、米国、カナダ、フランス、英国など、世界のほとんどすべての国に中共の「領事ボランティア」ネットワークがあります。

頼建平氏
「これらの人々は主に2つの機能を果たしており、その1つは中共の権威主義的支配のために海外での安定を維持することです。例えば、彼らは様々な勢力を操り、様々な手段で海外の反共主義者を脅すことができます。真相を知らない民衆を挑発したり、同じ陣営の一部の人を買収して民衆と戦わせたり、海外の反共産主義者に汚名を着せたりするのです」

中国人権弁護士・呉紹平氏
「いわゆる領事ボランティアと呼ばれるものは、中国国内の安全維持の海外延長であると私は考えています。もちろん、一種の越境弾圧であり、変わった形のロングアームの管轄です」

分析によれば、中共のこのメカニズムは華人だけでなく、外国人にも影響を与えています。

呉紹平氏
「例えば、一部の外国人は中共の企業や特定の部門とビジネスや貿易の取引があるかもしれません。あるいは、このような人々がビジネスや観光で中国に行く場合、いわゆる領事ボランティアを利用して、外国人の身元、仕事、交友関係、ビジネスなどの情報を公然と入手することが可能です。少なくともその人のプライバシーを侵害しています」

専門家は、中共が「領事ボランティア」ネットワークを使って華人を引き込み、民主主義体制を分裂・解体させようとしているとみています。

カナダ在住の中国民主活動家・盛雪氏
「一般的に領事になるためには、非常に形式化された手続き、一定の経歴、学歴、そして、訓練を受けていなければなりません。この領事ボランティアでは、専門的な要件はすべて排除されています。その目的は、華人を自国の秘密工作員や情報提供者として活動させることにあります。これは現地の中国人に恐怖心を植え付けるだけでなく、地元のコミュニティにとっても大きな脅威となっています」

カナダ在住の中国民主活動家の盛雪氏は、カナダにいる約180万人の中国人と、中共が支援する何千もの中国人コミュニティ組織が民主主義国家の懸念になりかねないことを例に挙げています。

頼建平氏
「在外大使館・領事館の外交・領事活動は、国際法に従って行われるべきものです。しかし実際には、この集団は駐在する国の内政、特に選挙やロビー活動に介入しています。各国が対中政策を策定する際に、これらのいわゆる領事ボランティアは、華僑コミュニティや大小さまざまな親共産党組織を通じて、これらの国の決定や立法、政策に影響を与えることができるからです。このような組織は、実は国際法上認められていないのです」

「セーフガード・ディフェンダーズ」は、中共の「領事ボランティア」ネットワークを見直すよう各国に提案しています。また、中共が主催する活動を正当化しないために、自国の役人が参加することを控えるよう勧告しています。

昨年「セーフガード・ディフェンダーズ」は、中共が50か国以上に100以上の警察署を設置し、表向きは現地の駐在員を助けるためだとしていますが、実際は海外の反共産主義者を弾圧するためだと暴露する報告書も発表しました。

 
関連記事