中朝大橋が12年遅れで開通 北朝鮮を巡る中露の駆け引き

中国と北朝鮮を結ぶ新鴨緑江大橋が、12年にわたる遅れを経て正式に開通しました。中国側は2014年に完成していたものの、北朝鮮側では接続道路や税関施設の整備が進まず、長年にわたり供用開始が見送られてきました。一方、北朝鮮とロシアを結ぶ初の道路橋は、着工から開通までわずか1年余りでした。対照的な経緯の背景には、中露朝のどのような思惑があるのでしょうか。

10月15日、中朝の新鴨緑江大橋が正式に開通しました。

大橋は中国・遼寧省丹東市と北朝鮮・新義州市を結び、全長は約3キロです。上下線合わせて4車線となっています。中国側は2014年に完成しましたが、北朝鮮側の接続道路や税関施設の整備が長期間進まず、開通が大幅に遅れていました。

背景には、中朝関係の冷え込みがあったとの見方もあります。北朝鮮が核兵器開発を続けたことで国連の制裁を受け、中共も関連する制裁を支持してきました。

台湾淡江大学国際事務戦略研究所准教授 馬準威氏
「北京にとって、北朝鮮の核保有は望ましくありません。北京にあまりにも近いからです。北京は朝鮮半島の非核化を望んでいると思います。しかし、金正恩にとっては受け入れられないでしょう。北朝鮮にとって核兵器は自らを守る切り札だからです」

中国民主党全国委員会の王軍濤主席は、中共の対北朝鮮政策は米中関係の変化に応じて調整され、北朝鮮を利用する一方で抑え込もうとする側面もあるとみています。また、北朝鮮側も中共に強い不満を抱いているといいます。

中国民主党全国委員会主席 王軍濤氏
「中共は北朝鮮を対米交渉のカードとして利用することがある。米国から中国(中共)への圧力が強まれば、北朝鮮による対米挑発を容認する。一方、米中関係が改善すれば、北朝鮮を抑える側に回ります。中国(中共)も、北朝鮮が内心では中共に強い反感を抱いていることを分かっています。北朝鮮は『ハードパワー』を強化したいと考えており、軍事力の増強を中共に制限されることにも不満を抱いています」

ただ、近年は中朝間の経済・貿易交流が徐々に回復しています。ロイターによると、2025年の中国から北朝鮮への輸出額は約23億ドルで、前年から25%増えました。ただし、国連制裁が強化される前の2017年の水準には届いていません。新大橋は今後、両国間の主要な陸上貿易ルートになるとみられています。

台湾の淡江大学国際事務戦略研究所准教授の馬準威氏は、習近平が今年6月に平壌を訪問したことが、大橋の開通を後押しした可能性があると指摘しています。

馬準威氏
「中共の指導者による訪朝は7年ぶりで、北朝鮮にとって大きな意味があったと思います。習近平が自ら訪問したこと自体、中朝関係の接近を示しています」

馬氏によると、北京には経済・貿易関係を通じて北朝鮮への影響力を維持したい思惑があります。一方、長年にわたり国際制裁を受けてきた北朝鮮政府は、中共からの物資供給を必要とすると同時に、将来の対米交渉で有利な立場を築きたい考えもあります。

馬準威氏
「北朝鮮がロシア寄りの姿勢を強め続ければ、北京の対北朝鮮影響力は弱まりかねません。そのため、この橋の開通には、経済関係を通じて北朝鮮への影響力を強める狙いもあると思います。最近はトランプ氏と金正恩の会談をめぐる情報も相次いでいます。北朝鮮にとって橋の開通は、ロシアとも中共とも一定の関係を保っているというメッセージになる。将来トランプ氏と会談することになれば、対米交渉を有利に進める材料にもなります」

一方、北朝鮮は中共一辺倒ではなく、ロシアとの関係も深めています。

先月には、北朝鮮とロシアを結ぶ初の国境道路橋「露朝豆満江道路橋」が開通した。着工からわずか1年余りで供用を開始しており、12年間開通が遅れた新鴨緑江大橋とは対照的です。

韓国国家情報院の韓基範元副院長はメディアに対し、この違いについて、北朝鮮政府が中露との関係改善のペースを意図的に調整し、北京への過度な依存に戻らないようにしている可能性を示していると分析しました。

王軍濤氏
「ロシアはウクライナとの戦争で兵力が大幅に不足し、北朝鮮に兵士の派遣を求めました。北朝鮮は数万人規模の兵士を派遣した。北朝鮮はその見返りとして、より高性能な兵器の供与をロシアに求め、ロシアも応じた。これに中共は不快感を示しています。ロシアにも北朝鮮にも不満があり、3か国の関係は微妙になっています」

馬準威氏
「ロシアと北朝鮮は事実上、相互に支援する同盟関係にある。ロシアは北朝鮮からの武器供給を必要としているほか、人員も求めています。北朝鮮は地上部隊もロシア側に派遣しています。ロシア・ウクライナ戦争が終わらない限り、プーチン大統領としては北朝鮮との良好な関係を維持する必要がある」と分析しました。

北朝鮮は中共とロシアの間でどこまで自主性を保てるのでしょうか。北京は今後、平壌にどの程度の影響力を及ぼせるのか。3か国の関係の行方が注目されます。

 
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