キーストーンXLパイプラインの建設認可撤回の悪影響 専門家が分析

EXPERT ON KILLING KEYSTONE PIPELINE

トランプ前政権はキーストーンXLパイプライン計画を復活させ、当初の予定から13年近く遅れて建設工事をスタートさせました。ところが今、新政権がこの方向を反転させたのです。

バイデン大統領は就任した初日に大統領令を発してパイプライン認可を取り消しました。気候変動対策を表向きの理由とした措置です。ですが、エネルギー、環境、規制措置を専門とするエコノミスト、ニック・ロリス氏によれば、この決定は経済にも環境にもよくないと言います。

エコノミスト、ニック・ロリス氏
この建設計画で数千人の雇用が産み出されたはずですし、隣国カナダからメキシコ湾岸の製油所の北方まで安全かつ確実に原油を運ぶはずでした。環境に負荷をかけずに原油を運搬する最良のオプションでした。オバマ元政権でさえパイプラインを見て、このプロジェクト自体が気候変動に大きく悪影響を及ぼすことはなかろうと言っていました。

ロリス氏の指摘によれば、パイプラインの有無にかかわらず原油を運搬することに変わりはありませんが、パイプラインでないとすれば鉄道かトラックでの運搬となり、環境リスクはより高まります。ロリス氏は認可の取消しが投資家に巨額の損失をもたらすと述べています。

エコノミスト、ニック・ロリス氏
たとえば、カナダの複数の地元グループは共同で7億6400万ドル(約約791億円)をパイプラインに投資したのです。

ロリス氏は、政府がこうした措置を講じますと、投資家はインフラ関連プロジェクトへの投資に尻込みするようになると述べています。

エコノミスト、ニック・ロリス氏
またその結果として効率も低下します。経済発展で遅れを取るだけではなく、環境改善に寄与するべき市場に効率よくリソースを振り向ける可能性も失うことになります。

ロリス氏は経済発展と環境改善の両方を同時に達成する鍵は新しいエネルギー源に投資し、規制を撤廃することだと言います。クリーンエネルギー分野のテクノロジーへの投資に大きく舵を切ろうというのであれば、投資を採算のとれるものにする必要があります。そのための最善の方法は、政府が邪魔するのを止めて身を引き、市場の勢いに任せることです。

ロリス氏は化石燃料関連のみならず、再生可能エネルギー関連のプロジェクトも「煩瑣な規制」に縛られていると言います。ですので、どのエネルギー源にも共通して、いわば組織的な不満が鬱積しています。規制の非効率性か改善されればされるほど、取引はより自由になり、それだけ一層技術革新を促進することができます。

これは環境保全と経済的繁栄を達成する上で米国のみならず、全世界の利益になるであろうと同氏は述べています。

NTD Japan

 
関連記事