中共の株価下支え策 専門家「権力層が売り抜け」

現在、中国株が大幅に下落しています。今年5月の高値から10月末までに、株式市場の時価総額は約3兆5千億ドル減少しました。景気低迷と株価下落の二重の圧力に直面するなか、中国人民銀行は相次いで市場の下支え策を打ち出しています。こうした強力な介入は経済を救うのか、それとも、いずれ崩れる幻想を引き延ばしているだけなのでしょうか。

中国共産党(中共)の金融当局は最近、複数の株価対策を相次いで発表しました。株価が発行価格を下回る「発行価格割れ」を、株価下支えを目的とした自社株買いの対象に加える案を検討しているほか、すでに資金募集を終えた18本のアクティブETFについても、運用資産の組み入れを加速するよう促す方針です。

当局は、こうした措置について、システミックな金融リスクを防ぎ、幅広い投資家を保護するためだとしています。一方、専門家は、資金配分が行政主導で行われ、透明な市場メカニズムや独立した監督が欠ければ、市場下支え資金が特定の企業や金融機関への利益供与に使われる恐れがあるとみています。

台湾南華大学国際事務・経営学科教授 孫国祥氏
「市場下支え資金が、特定の企業や金融機関への利益供与の手段になることは十分にあり得ます。特に資金配分を行政が主導し、透明な市場メカニズムや独立した監督がなければ、そのリスクはさらに高まります。市場対策によって、本来は投資家や市場参加者が負うべきリスクが公的部門に転嫁される一方、利益だけを一部の企業や投資家が得ることもあります。問題は政府が市場を下支えできるかどうかではありません。誰が支援資金を受け取る資格を持ち、最終的に誰が利益を得て、投資損失を誰が負担するのかという点です」

こうした利益供与への懸念には背景があります。国家の信用と巨額の公的資金が市場に投入された場合、真っ先に恩恵を受けるのは一般の個人投資家ではなく、権力層とつながりを持つ人々だとの見方も出ています。

米サウスカロライナ大学エイキン校教授 謝田氏
「こうした資金投入で最初に利益を得るのは、中共高官の子弟や『紅二代』と関係を持つ人々でしょう。彼らはまず、不良債券や値下がりした株式など、手放したい資産を売却し、現金化して市場から撤退するかもしれません。資金投入によって株式市場は一時的に活況を取り戻したり、見かけ上は上昇したりするでしょう。しかし、その資金を使い果たせば、株価は再び下落します」

つまり、市場下支え資金が、一部の権力層や関係者にとって、不良資産を処分し、損失を国家側に転嫁して撤退する手段になりかねないとの見方です。評論家らは、中国の市場は完全な自由競争市場ではなく、国有企業や中央政府直属の国有企業、権力者とつながりを持つ企業が複雑に絡み合い、インサイダー取引や水面下の取引が生じやすいと指摘します。

謝田氏
「中国の株式市場にはインサイダー取引や水面下の取引が多いです。中国は本当の意味での市場経済国でも、自由競争の国でもありません。国有企業や中央企業、さらに有力者とつながりを持つ企業が数多く存在しています。そうした企業の幹部や背後にいる株主は、内部情報を十分に入手できる立場にあり、それを利用して取引します。他国の健全な市場であれば、こうした行為は認められず、発覚すれば逮捕され、または実刑判決を受けます」

専門家は、市場制度の透明性が欠けるなか、経済指標が悪化したり市場のバブルが崩れたりするたびに、当局が市場を支えるため繰り返し介入する構図が生まれているとみています。しかし、目先の株価を支えても、長期的には問題をさらに深刻化させかねないといいます。

孫国祥氏
「最大のリスクは、株式市場のリスクが金融リスクへと拡大し、さらに公的部門へ転嫁されるという循環が生まれることです。企業業績が改善していないにもかかわらず、国家が金融資源を投入し続けて資産価格を維持すれば、本来投資家自身が負うべきリスクの一部が、銀行や国有金融機関、公的部門へ徐々に移されます。最終的には、公共資源が圧迫されたり、金融サービスのコストが上昇したり、財政負担が増えたりする形で、一般市民が間接的に負担することになります」

専門家は、こうした状況が悪循環を招くと警告しています。市場が当局の支援に依存するほど価格形成はゆがみ、投資家がここまで下がれば当局が支えると見込むようになれば、投機的な取引が増え、政府はさらに多くの資金を投入せざるを得なくなるといいます。

謝田氏
「中共自身が富を生み出せるわけではありません。企業は赤字に陥り、景気も悪化し、政府の財政収入も減っています。財源がなければ、新たな資金は結局、通貨を増発して生み出すしかありません。その負担は最終的に国民が背負うことになります」

数千億元、さらには兆元規模の市場下支え資金が投入されるなか、その資金はどこから来るのでしょうか。企業の赤字が広がり、政府の財政収入も減少するなか、新たに投入される巨額の資金の代償を最終的に誰が負担するのかが問われています。

 
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