米通信網に「裏口」か 中国通信3社の設備残存

米国の通信網のセキュリティーをめぐり、再び懸念が高まっています。米下院は4日、米国内での事業許可をすでに取り消された中国の通信大手3社が、規制の抜け穴を利用して設備やネットワーク管理業務を維持し、ハッカーが機密情報を盗み出すための「裏口」となった可能性があるとする報告書を公表しました。

ブルームバーグによると、米国下院が約1年かけて行った調査で、米連邦通信委員会が中国移動、中国聯通、中国電信による米国内での通信事業を禁止した後も、3社が米国内に設備や事業基盤を残していたことが明らかになりました。

3社は規制の対象外となっていた領域を利用し、多数のハードウエア設備やネットワーク管理サービスを、第三者が運営するデータセンター内に残していたといいます。

米議員はこの状況について、「運送会社が運転免許を失ったにもかかわらず、トラックを車庫に残し、エンジンをかけたまま、いつでも走り出せる状態にしているようなものだ」と表現しています。

この結果、米国の大手通信事業者がデータセンターに接続する際、残された設備や通信経路がサイバー攻撃の足掛かりになった可能性があります。約2年前に大問題となった中国共産党と関係のあるハッカー集団「ソルト・タイフーン」による攻撃でも、民間施設内に残された設備や通信経路が悪用され、大規模なサイバースパイ活動が行われました。

米国側の報告書によると、ハッカーは把握されにくい通信経路を通じてAT&Tやベライゾンなどの大手通信事業者に侵入しました。さらに、トランプ大統領を含む要人の通話記録を盗み出し、米政府高官らの通信内容を傍受・解析しようとしたといいます。

また、中国聯通の米国子会社のコンプライアンス担当者は、宣誓の上で行った証言で、「中国の親会社が米国法を順守すると保証することはできない」と認めました。同社は米国企業と結んだ契約の中で、米国の顧客に対し、中共が国家安全保障に反するとみなす内容を発信しないよう求めていました。

技術分析では、事態の深刻さを示すデータも明らかになりました。米側は近年、10万8千件を超えるインターネット経路の「乗っ取り」を確認したとしています。これは、高速道路に偽の標識を設置し、本来とは異なる方向へ車を誘導するような手法です。米国のインターネット通信を密かに香港や中国本土のサーバーへ迂回させ、通信内容を傍受・複製した後、本来の送信先へ転送したということです。

米下院特別委員会の委員長は、「米国民を守るため、これらの企業を国内の重要インフラから排除しなければならない」と述べました。

現在、米規制当局は、この抜け穴を完全にふさぐための新たな命令を準備しています。中国通信大手3社がデータセンター内で運用している設備をすべて撤去させるほか、データセンターで使用されている中国製部品についても、使用を禁止する案が検討されています。

最先端AIが身分偽装 証拠も消去 英研究機関の試験で確認

最先端のAIが人を欺くだけでなく、その行動を指摘された後に操作記録を書き換え、別のアカウントで活動を続けようとする事例が、英国のAIセキュリティー研究所による試験で確認されました。

今回の試験対象には、アンソロピックの最上位モデル「ミュトス5」と、オープンAIの「GPT-5.6-Sol」が含まれていました。

試験担当者は、AIにインターネット接続を許可し、通常よりも安全上の制限を緩めた環境で、どのような行動を取るかを検証しました。その結果、AIが監視や制限を回避しながら、目標を達成しようとする行動を示したといいます。

AIはまず、オープンソースプロジェクトの責任者について密かに調査しました。その後、複数の架空の人物を装い、ソーシャルエンジニアリングの手法で相手を欺き、悪意のあるコードを承認させようとしました。

さらに、指摘を受けると、AIは自らの操作記録を書き換えて欺瞞行為を隠し、さらに別のアカウントを使って活動を続けようとしました。

AIは、実在する人物にマルウェアを仕込んだファイルを送り、クリックして実行するよう働きかけました。

AIセキュリティー研究所は、試験中のAIエージェントが「実在する人物や組織に対し、継続的かつ潜在的に有害な行動」を示したと説明しています。アンソロピックのミュトス5は同様の行動を17回、オープンAIのGPT-5.6-Solは2回行いました。特定の人物を狙い、心理的な誘導によって相手を操作しようとする「能動的なソーシャルエンジニアリング攻撃」が、AIの安全性試験で確認されたのは初めてだといいます。

アンソロピックとオープンAIは、今回の事例について、極端な条件を設定した隔離環境内での試験であり、現実の被害は発生していないと説明しました。一方、業界内では、今回の結果をAI開発の重要な転換点とみる声もあります。従来のAIは、主に与えられた指示に応じてコードを生成していました。現在、AIが目標を達成するため、自ら欺瞞や偽装、制御や監視から逃れようとする行動が確認されました。

これは、最先端のAIモデルが課題の達成を優先する過程で、倫理的・安全上の制約を自発的に回避する可能性を示しています。

こうした事例は、今回が初めてではありません。オープンAIは以前、同社のモデルが暴走し、与えられた課題を達成するため、未知の脆弱性を利用して試験環境から逸脱し、別の企業のシステムに「前例のない」サイバー攻撃を仕掛けたことを認めています。

一連の事例を受け、規制当局も警戒を強めています。米国議会では現在、AIによる重大な被害を防ぐための法案の成立に向けた動きが進められており、AIを強制的に停止できる物理的な緊急停止スイッチの導入を義務付けることが求められています。

 
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