日銀景気判断、全9地域で据え置き 米中貿易摩擦に懸念も

[東京 9日 ロイター] – 日銀は9日、7月の地域経済報告(さくらリポート)を公表し、9地域すべての景気判断を据え置いた。景気判断の表現は「拡大」が6地域、「回復」が3地域。企業からは、米国が検討する自動車関税や米中貿易摩擦の影響を懸念する声が出た。同日の支店長会議では、西日本各地に被害を与えた豪雨による実体経済への影響を確認する方針も併せて共有した。

全地域の景気判断を維持したのは2015年10月以来となる。報告書は「個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いている」と分析した。

米国の通商政策を巡っては「他社製品での代替が難しいため、米国の鉄鋼・アルミの関税引き上げによる影響は小さいとみている」(北海道、鉄鋼)との声が企業から出た。

一方、自動車の追加関税では「展開次第で海外進出を検討せざるを得ないかもしれない」(関東甲信越、輸送用機械)と懸念する向きが目立ったが、現段階では「事業計画の見直しを検討している企業は確認されていない」(日銀幹部)。

一部の製造業は、先行きのリスクとして、米中貿易摩擦が世界経済や国際金融市場に与える影響を挙げた。

支店長会議では、西日本の豪雨が生産拠点や供給網に与えた影響について、今後詳細に調べることも確認。6月18日に発生した大阪北部地震が生産や販売に与えた影響は一時的なものにとどまったという。

4月の報告で顕著だった人手不足に関しては「生産性を高めるための省力化投資を積極的に実施しているという声が各地から多く聞かれる」(前出の日銀幹部)とした。

*内容を追加しました。

(梅川崇)

 
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