横浜・赤レンガパークで9月23日、大人から子どもまで楽しめる野外クラシック音楽フェスティバル「STANDUP! CLASSIC FESTIVALʼ18」が開催された。
今、最も注目されている若手実力派アーティストが集結し、モーツァルトからオペラ、さらにはスタジオジブリまで100曲以上の曲が演奏された。潮風感じる開放感あふれる3つのステージで様々なアーティストが演奏し、観客は1日を通してクラシック音楽に酔いしれた。
メインステージKARBOR✪STAGEのオープニングは「It’s 吹奏楽!〜ブラスで聴くスタジオジブリの音楽〜」。時々汽笛の音が響く横浜港をバックに大型スクリーンの大迫力だった。
スペシャルゲストの麻衣が登場し、「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」のアレンジを歌った。「この曲を父の久石譲に紹介したいです」というと会場から拍手があがった。続けて「ナウシカ・レクイエム」、そして吹奏楽バーションの「天空の城ラピュタから君をのせて」を歌った。
会場はGRASS STAGEに移動、芝生の会場では、観客がシートを敷いて演奏を聞いた。潮風が心地よく、寝そべっている人もいてまるでキャンプのような開放感だ。
「反田恭平スペシャルステージ」が始まり、反田恭平が登場すると待ってましたの大歓声。「幻想即興曲」「小犬のワルツ」「英雄ポロネーズ」とショパンの楽曲の数々が演奏された。「人生発の野外ステージです。日本人はマナーがいいですね」とコメント。ロシアで演奏した時、リストの最後のサビでメガメが後ろに飛んでしまったことなどエピソードを話すと会場は爆笑した。ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を演奏後「あと3分残ってる。3分で弾ける曲を弾きます!」とシューマン=リストの「献呈」。反田の野外でのはじめての試みは聴衆の心を完全につかみ、ブラボーの歓声が飛び交った。
「世界まるごとクラシック」で白に花柄のタキシード姿の指揮者・青島広志が登場。シアターオーケストラ トーキョーがチャイコフスキーの三大バレエコレクション「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」を演奏した。「眠れる森の美女はね、100年間眠っている間に115歳になっちゃったお姫様のお話」とユーモアで会場を沸かせた。
バイオリニストの宮本笑理が登場すると客席から「かわいい~」と歓声があがった。
青島が「かわいいと美しいとどっちを言われる方がいいですか?」と聞くと「かわいいかなあ・・」と応えると観客から再び「かわいい~」と掛け声があがった。「サウンド・オブ・ミュージック」のドレミの歌では、振り付けをして会場と一緒に歌って踊った。青島がステージにいる間は笑いが絶えなかった。
会場は再びGRASS STAGEに移動、民族大移動のように何度も2つの会場を行ったり来たりするがさすが日本人、きれいに並んでスムーズに移動した。
「ブランチonクラシック」ではNAOTOとDEPAPEPEが登場。バッハの主よ人の望みの喜びよ他、クラシックをアレンジした曲が演奏される。ライブのような楽しさで「横浜イエーイ! 赤レンガイエーイ!」と会場が盛り上がった。
4月~7月にNHKで公開された「ピアノの森」のアニメがスクリーンに映し出された。松下奈緒の司会で「クラシックinアニメ」が始まった。
続いてHARBOR✪STSGEでは「クラシック紅白歌合戦!」がはじまり、オペラからミュージカルまでの200年間の名曲が日本を代表するオペラ歌手たちによって熱唱された。
5時を過ぎてGRASS STAGEで行われた「プレミアムサンセット」「プレミアムナイト」。ライトアップされるみなとみらいの夕景の中、演奏がはじまった。海からの夜風がとても心地良い。
会場はHARBOR✪STSGEに戻り、ラスト8時半までクラシック界の若きヴィルトゥオーゾが集結し、一夜限りの饗宴が始まった。
指揮者の佐渡裕は「クラシック音楽は年齢を問わず楽しめるものです。ご家族で、素敵な人とのデートに、初めてのコンサート体験に・・・楽しみ方はそれぞれ違っても、必ずみなさんに『心のビタミン』が届くことでしょう」とコメントした。
中秋の名月と豪華なアーティストたちの演奏、遠くで鳴り響く汽笛の音、ここちよい潮風、これほど贅沢なクラシックの饗宴はあるだろうか。帰りに観客達は、「来てよかった」「もっと聞きたかった」と口々につぶやいていた。