ウイグル人のモデルが命がけで収容所内部の情報を外部に送信【禁聞】

かつて中国のタオバオでモデルとして活躍していたウイグル人のマーダン・ギャパーさんが近日、BBCのニュースで取り上げられました。しかし報道では、マーダンさんのモデルとしての活躍ぶりではなく、左手をベッドに手錠でつながれた様子が映し出されています。

BBCが8月4日に公開した動画では、一人のウイグル人青年が、左手をベッドのフレームに手錠でつながれた状態で、窓に鉄格子のはまった部屋に拘束されています。

報道によると、動画に映っているマーダンさんは新疆芸術学院でダンスを専攻し、卒業後は他の新疆の若者たちと同じように、「チャイナ・ドリーム」を求めて、2009年に沿岸都市に移り住みました。マーダンさんは広東省佛山市で、アリババグループが創立したオンラインモール、淘宝(タオバオ)のファッションモデルとなり、成功を収めていました。しかし、会社は彼にウイグル人であることを隠すように求め、対外的にはヨーロッパと中国のハーフであると宣伝していました。

2018年、中共当局は「再教育」の名目で新疆ウイグル自治区に強制収容所を急速に建設しました。その年の8月には、マーダンさんも迫害を受け、生活は一変しました。大麻を販売したとして懲役16か月の実刑判決を受けましたが、家族は彼が濡れ衣を着せられたと主張しています。

米国世界ウイグル人協会副主席 イルシャット・アイシャン氏
「中国(共)がウイグル人、モンゴル人、チベット人は皆中華民族だと言っている。しかし、我々は民族を強調してはならず、ウイグル人は特にそうだ。だからマーダンさんが逮捕されて、手錠をかけられても、私は驚かない」

今年1月15日、マーダンさんは警官2人によって、飛行機で佛山から故郷のクチャ県に護送されました。それから1か月以上経った頃、彼の親族の元に突然WeChatのメッセージが届き、自由を奪われたマーダンさんの様子を映した動画が送られてきました。

マーダンさんによると、劣悪な衛生状態のほか、横になる場所もないことだけでなく、全員が手錠と足かせをかけられ、首から上は黒いフードを被せられて外すことは許されないとのことです。

イルシャット・アイシャン氏
「これは氷山の一角に過ぎない。スマホで撮影をしていることから、彼はまだ臨時の拘置施設にいるということがわかる。彼がいるところは収容所でも刑務所でもない。私が知っている限り、収容所と刑務所では、携帯は使えないし、丸刈りにさせられ、服装も統一させられる。彼のように写真が撮れ、携帯でメッセージが発信できる環境ではない。彼はまだ幸運なほうだ」

米国の世界ウイグル人協会のイルシャット・アイシャン副主席は、強制収容所に収容されている他のウイグル人との比べると、マーダンさんはまだ幸運なほうだと述べます。 中共はウイグルの人々に対して、100万人以上を拘束し、殺害、強制失踪、虐待、強制避妊などの残酷な手段で抑圧していると述べました。

カナダ在住の作家 盛雪氏
「新疆地区における中共の逮捕、鎮圧、監禁などは、一個人の社会的地位、身分、職業などによって変わることはない。中共が新疆で行っているのは形を変えた民族ジェノサイド政策である」

中国系カナダ人作家の盛雪氏は、今回収容施設の中の様子が外部に漏れたのは、当局の油断が原因かもしれないと述べます。新疆の状況を外部に知られるのを当局は決して望まないからです。

カナダ在住の作家 盛雪氏
「新疆は現在非常に危険な状況だと言える。しかし、国際社会はこの問題において、関心度は高まってはきているものの、直接で有効な措置はまだとられていない。特に現在は中共ウイルスの流行期間中で、これらの収容所の中がどれほど危険なのか想像できる。不完全な情報が漏れてきてはいるが、ほんのわずかな一部分だろう」

アイシャン氏は記者に、ウイグル人がどんなに中国語に堪能でも、どんなに漢民族に溶け込んでも、外見と名前が変わらない限り、常に中共に狙われる可能性があると語りました。

マーダンさんが家族に送信した内容には、抑留されているウイグル人に送った通知文のスクリーンショットも含まれており、文章には12歳以上の者は全員が「真に自首し、真に悔い改め、真に告発し、真に決裂しなければならない」と記されていました。マーダンさんからの連絡はこの一回だけで、これ以降また連絡が途絶えました。BBCは中共当局にマーダン氏の現在の状況や手錠をかけられている理由について質問しましたが、回答は得られなかったといいます。

 
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