カナダの中華料理レストランが顧客の録画データを中国に転送

中共は巨大監視システムを使って中国人の一挙手一投足を記録していますが、その手法はすでに世界に広まっています。インドメディアは先日、中共の「社会信用システム」が現在、カナダのレストラン・海底撈火鍋店(Haidilao Hot Pot)で堂々と使用されていると報じました。

インドメディアのサンデー・ガーディアン(Sunday Guardian)は4月17日、中国の火鍋専門店「海底撈」カナダ支店に、60台を超える監視カメラが設置されていると報じました。

「海底撈」バンクーバー支店マネージャーのリャン・パン(Ryan Pan)氏は、監視カメラの設置は本部からの求めに応じて店内に30卓あるテーブルに2台ずつ設置していることを認めたうえで、規定のマニュアルを守らない従業員を処罰し、彼らを追跡することが目的だと話しています。同マネージャーはさらに、これらの記録は中国に送られていることも認めましたが、その用途については「社内機密」を理由に口を閉ざしました。

これについて評論家は、これは中共政府のマルチ機能諜報手段であり、一石二鳥ならぬ一石多鳥だと述べています。

中国政法大学国際法修士の頼建平氏
「例えば、彼らはその録音・録画データを通じて、その店で食事をする人やそこによく来る人の行動、彼らの個人的なバックグラウンド、交友関係、そこで話されている話の内容といった各種プライバシーにかかわることのほか、恐らく政治問題に関わることも把握することができる」

頼建平(らい・けんぺい)氏は、中共が来客の情報を把握する目的は、彼らが現地に浸透するための足場を整えるためだと考えています。

頼建平氏
「彼らは非常に高度な顔認証技術を有しているので、現地の社会的地位の高い来店者の一部のスケジュール情報を詳細に把握できるに等しい。さらには客の話す内容や、客の持っている重要な情報についても知ることができる」

頼建平氏は、「中国のレストランはカナダにあっても中共の命令を聞き、中共のために奉仕しなければならない。なんと悲しく恐ろしいことか」と述べています。

「海底撈」は1994年に四川省で開店し、バンクーバーには2店舗を構えています。2018年にオープンした最も新しい支店は、カナダ当局に逮捕されたファーウェイ元CFO孟晩舟の自宅マンションと中共領事館から、わずか10分のところにあります。

「海底撈」は現在、世界中に935店舗を展開しており、3600万人のVIP会員と6万人以上の従業員を抱えています。

カナダ在住のジャーナリストの何良懋(か・りょうぼう)さんは、セキュリティの関係上、カナダの飲食店は通常レセプションには監視カメラを設置しているが、テーブルへの設置は一般的な価値観から大きく外れていると指摘しています。

カナダ在住のジャーナリスト 何良懋氏
「カナダや北米では、飲食店での客のプライバシーは非常に重要だと考えられている。客の同意を得ていないのに客を撮影し、食事をしている様子を録画して中国へ送る。まず、こんなことは想像できない。二つ目に、不思議でならない。三つ目に、理解できない」

何良懋さんは、「海底撈本店と会社を設立した場所が中国だったとしても、中国の『社会信用システム』を国際社会に持ち込むというやり方は通用しない。これは明らかな人権侵害であり、容認できない」と指摘しています。

何良懋氏
「海底撈のやり方について、カナダの州政府や市政府、連邦政府は、彼らがカナダ市民のプライバシーを侵害したのかどうか、顧客の消費の自由を損なっているのかどうかを調査すべきである」

中国を注視する民主運動活動家の艾薇•李(アイビー・リ、Ivy Li)さんも、中共の社会信用システムがカナダで使用されていることについて、全てのカナダ人と社会のプライバシーと安全面が損なわれると指摘しています。高級エリアにある中華料理の人気レストランでは、外交官や政治家が賓客を招いたり、企業幹部がビジネス戦略を話し合ったり、専門家が会社のプロジェクトなどを論じたりすることもあるため、レストランのテーブルは他人の話を盗聴したり、社会動向を把握するにはうってつけの場所と言えます。

中共の「社会信用システム」は大規模な監視システムと密接に関係しており、顔認証技術とビッグデータ分析技術も採用されています。2020年に「社会信用システム」が完成して全面的に導入され、中国全土の監視カメラの台数は6億2600万台に達しました。

 
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