石油備蓄放出に懐疑的=石油問題専門家

米国のバイデン大統領は、戦略石油備蓄を放出することでガソリン価格の上昇を抑制しようとしています。それは市場にどのような影響を与えるのでしょうか?石油生産とガソリン価格高騰の問題について理解を深めるため、米国内エネルギー生産者連合(DEPA)の最高経営責任者に話を伺いました。

バイデン大統領は、国家戦略石油備蓄から5000万バレルの石油を放出することを発表しました。しかし、米国内エネルギー生産者連合の理事長兼最高経営責任者(CEO)であるジェリー・シモンズ氏は、これは米国の石油消費量のわずか3日分にすぎないと語っています。

米国内エネルギー生産者連合 理事長兼CEO ジェリー・シモンズ氏
「これは米国における3日分の供給量だ。誰もこれで短期的に価格が是正されるとは考えていない。彼らは何を飲んでいるのかわからないが、私が今朝飲んだコーヒーではない。なぜなら、それは何の影響も及ぼさないし、及ぼせないからだ」

シモンズ氏によると、2020年初めに米国はエネルギーを自給できるようになりましたが、当時と比べると現在の1日あたりの石油生産量は200万バレルも減っています。バイデン大統領はどのようにこの減産に関与しているのでしょうか?

米国内エネルギー生産者連合 理事長兼CEO ジェリー・シモンズ氏
「バイデン大統領が当選したとき、彼は「化石燃料を廃止する」と言った。それが民主党の公式な党綱領だ。その結果、資金繰りが悪化し始めて、稼働できる企業が減ってしまった。先ほど言ったように、2020年には倒産が相次ぎ、更に2021年初めにも倒産が続いた。そうやって多くの企業が消滅してしまった。金融機関は、連邦政府が消滅させたいと言っているビジネスへの投資には二の足を踏んでいる」

シモンズ氏は、連邦政府の統計機関である米エネルギー情報局の数字を挙げて、将来的にエネルギー価格が上昇すると予測しています。同局は20年後、30年後も世界のエネルギー消費の70〜75%が石炭、石油、天然ガスに依存すると予測しています。

米国内エネルギー生産者連合 理事長兼CEO ジェリー・シモンズ氏
「20年後、30年後も、石炭、石油、天然ガスへの依存度は高止まりしているだろう。投資やドルが不足し、供給量が減小しているため、価格は今よりはるかに高くなるだろう。なぜなら、供給する資源が底をつくからではなく、資源に手が届かなくなるからだ」

シモンズ氏によると、鉄道やトラックに比べてパイプラインは最も安全な輸送手段であると言います。政府がパイプラインを閉鎖すれば、貨物を鉄道やトラックで輸送するしかありませんが、それらはパイプラインよりはるかに事故やトラブルが起こりやすいのです。

〈字幕版〉

 
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